CB起用はチームにとっても、戦い方に幅をもたらす上で有益だった
試行錯誤の日々が続くなか、坂本はインターハイ予選後からSBに配置転換されると、転機を迎える。内野智章監督からCBでの起用を告げられたのだ。レギュラーの選手が怪我で離脱していた影響でCBを務めたのだが、これが思わぬ産物をもたらした。内野監督は言う。
「夏前のインターハイ終わりからはSBをやらせていたんですけど、怪我人が出たので7月末からCBをやらせたんです。そこからJにも注目してもらえるようになった。50mを6秒5ぐらいで走って、身体も強くてビルドアップもできる。左足だけではなく、右足でも蹴れる。そういうタイプのCBはあまりいないんですよね」
結果として、このCB起用が坂本の運命を大きく変えた。ポジショニングは改善の余地があり、DFとしての経験ももっと積まなければいけない。まだまだ荒削りではあるが、自身の特徴は後ろであれば最大限に生かせる――。坂本も最初は戸惑いを見せていたが、新たなポジションでのプレーに手応えを掴んだ。
「興國に来てサッカーが広がった。正直FWをやりたい気持ちはあるし、仲間がゴールを決めていると、自分も攻め上がって点を取りたいって思う。でも、FWの頃は声をかけてもらえなかったけど、DFになってJクラブからも目を付けてもらえるようになった。そこは自信になったので、割り切って受け入れてCBとして成長していくことが一番だと思えるようになりました」
坂本のCB起用はチームにとっても、戦い方に幅をもたらす上で有益だった。今まであれば2人のCBとアンカーでビルドアップし、守備時も相手が2トップであれば3枚で守る必要があった。しかし、坂本の台頭で攻撃時も守備時もCBだけで対応できるようになり、中盤でのボール回しやプレスも楽に行なえるようになったという。
チームでのプレーが評価された坂本は夏以降にJクラブから注目を集め、横浜と東京Vの練習にも参加。坂本は「結構手応えもあったし、戦術のところも味方を動かしながらできたので自信になった」と振り返り、「マリノスやヴェルディのプレースピードやパススピードは凄かったけど、そこで得たものを新たな基準として興國でも継続できれば、どれだけ上手くなれるんだろう」と感じる機会になった。
もし、新たな挑戦に足を踏み入れてなければ、今の活躍はなかったに違いない。今の坂本にとって高卒でのプロ入りは夢ではなく、現実な目標だ。右肩上がりで成長を続けていけば、CB歴3か月の男が世界を驚かす日が来たとしても不思議ではない。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
結果として、このCB起用が坂本の運命を大きく変えた。ポジショニングは改善の余地があり、DFとしての経験ももっと積まなければいけない。まだまだ荒削りではあるが、自身の特徴は後ろであれば最大限に生かせる――。坂本も最初は戸惑いを見せていたが、新たなポジションでのプレーに手応えを掴んだ。
「興國に来てサッカーが広がった。正直FWをやりたい気持ちはあるし、仲間がゴールを決めていると、自分も攻め上がって点を取りたいって思う。でも、FWの頃は声をかけてもらえなかったけど、DFになってJクラブからも目を付けてもらえるようになった。そこは自信になったので、割り切って受け入れてCBとして成長していくことが一番だと思えるようになりました」
坂本のCB起用はチームにとっても、戦い方に幅をもたらす上で有益だった。今まであれば2人のCBとアンカーでビルドアップし、守備時も相手が2トップであれば3枚で守る必要があった。しかし、坂本の台頭で攻撃時も守備時もCBだけで対応できるようになり、中盤でのボール回しやプレスも楽に行なえるようになったという。
チームでのプレーが評価された坂本は夏以降にJクラブから注目を集め、横浜と東京Vの練習にも参加。坂本は「結構手応えもあったし、戦術のところも味方を動かしながらできたので自信になった」と振り返り、「マリノスやヴェルディのプレースピードやパススピードは凄かったけど、そこで得たものを新たな基準として興國でも継続できれば、どれだけ上手くなれるんだろう」と感じる機会になった。
もし、新たな挑戦に足を踏み入れてなければ、今の活躍はなかったに違いない。今の坂本にとって高卒でのプロ入りは夢ではなく、現実な目標だ。右肩上がりで成長を続けていけば、CB歴3か月の男が世界を驚かす日が来たとしても不思議ではない。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)