「自分がまずは引っ張っていかなければいけないし、点も取らないといけないし、勝たせなければいけない」

　やるべきことはたくさんある。だが藤本は「それぐらいやれるように」と気を引き締める。「実際、それをやってきている人たちを見てきているから。ヤットさん（遠藤保仁／ジュビロ磐田）しかり、俊さん（中村俊輔／横浜FC）しかり」と、かつてガンバ大阪や横浜F・マリノスでチームメイトだった先達の名前を挙げる。

　ベテランと呼ばれる歳になっても、「ここまできたら、やれるところまでやりたい」と貪欲だ。

「点を取るといっても、アシストでもいい。できれば取りたいけど。もっとゴール数を増やしたい。欲張りじゃないけど、それぐらい求めていきたい」

「高いレベルで安定したプレーを出せるようにしたい。J１でもやりたいし、サッカーもまだまだ上手くなりたい。上手くなりたいのが一番かな」

　そんな藤本が、J２初参戦で残留を最大の目標とする相模原を力強く牽引している。

「チームの中で言えば、（稲本潤一に次いで）２番目にいろんな舞台を経験していると思うんで。それを還元したり、伝えていく。プレーで表現していかないといけない。そういう責任はある。ここ数試合はゲームキャプテンをやらせてもらっていて、もちろん（腕章を）巻く・巻かないは関係なしに、軽いプレーはしないようにっていう意識はある」
 

　相変わらず、練習の合間などに後輩たちに何かを伝える藤本の姿がある。「自分がやりやすいようにね（笑）」と、とぼけつつ「このタイミングで出すから、とかは練習からやっています」と明かす。

「今、チームは良い感じできているから、そこで結果がついてくれば、さらに自信がついてもっと良くなると思う。残留するために勝たなければいけない」

　次節の相手は20位の大宮アルディージャ。残留争いのライバルに負けるわけにはいかない。今季のチーム初勝利の相手が大宮。４節のホームゲーム、終了間際に劇的な決勝点を挙げたのは藤本だった。今回も勝点３をもたらす活躍を見せてほしい。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストWeb編集部）

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