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指揮官を唸らせるハイレベルな“声掛け”。筑波大DF山原怜音の持つ言葉の力が、J1清水の未来を明るく照らす

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2021年09月20日

鬼気迫る言葉で周囲を牽引。明治大に対して試合を優位に進める

激しい雨の中での試合も一貫したプレースタイルで優位に立った筑波大。山原のコーチングが大きな助けとなった。写真:安藤隆人

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 キックオフ直後に味方の選手が水溜りに落ちたボールに対して足を振り抜いたキックをしたことでボールが止まり、相手に前に蹴り出されてカウンターを浴びた。その瞬間に山原は大きな声で「振り抜くなよ! 押し出すように蹴れよ!」と自らジェスチャーをしながら周りに伝えた。文字にすると言葉がきついように見えるが、この現場を見ていた者からすると、チームメイトに「うるさい」と言われようが絶対に強調し続けないと、このコンディション下で優位に立てない、90分間やり切らないといけないという強い意志を感じた。
 
 山原の鬼気迫る言葉に周りも呼応し、前半は明治大に対して試合を優位に進める。15分には山原が有言実行と言わんばかりに右スローインからのリターンを受けて、「前に運んだら水溜りに捕まると思って、そのままクロスを上げることを考えた」とファーサイドに飛び込んだMF竹内崇人の頭にドンピシャのクロスを送り込んで先制点をアシストした。

 その後も攻守において絶え間ないアップダウンと正確なキック、激しい球際の攻防と質の高いコーチングを周り発信し続け、リードを保ち続けた。だが、86分に退くと後半アディショナルタイム3分に同点弾を浴び、試合は1-1のドロー決着に。勝点3を逃した形となったが、試合後に小井土正亮監督は「山原が本当に頼もしくなった。声かけのレベルもワンランク上がったと感じました」と、チームの精神的支柱のさらなる成長に目を細めた。

「ただ声をかけると言っても、『行こうぜ』とかそういう気持ちの入るような声かけもありますが、それは誰でも出せる声。今、展開的にどうなのか、どうすべきか、何をすべきかという細かい指示を出すのが僕の役目です。他の選手がどう思っているか分かりませんが、僕が守備でも身体を張るなどの姿勢をプレーで見せないといけないし、下級生や見ている周りの人たちに何かを残したいと思っています」

 試合後の受け答えは、試合と変わらずハキハキとしっかりと相手の目を見て言葉を放つ彼らしい凛とした態度だった。

「これから先、いつ試合が延期になるか分からない状況だからこそ、筑波大と清水の両方で環境が変わってもコンディションを維持して力を発揮する。そんな選手になっていきたいなと思っています」

 この言葉に大きな可能性を感じた。それほど彼の放つ言葉には重みがあるし、説得力がある。有言実行で成長をし続ける山原は、筑波大にとってはもちろんのこと、清水にとっても必要不可欠な存在になるのではないか。明るい未来を彼の鋭い眼光から感じ取ることが出来た。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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