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【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「新生ミランを率いるミハイロビッチとはどんな監督か?」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年06月17日

全てをチームに捧げる本田はすぐに新監督の信頼を勝ち取れる。

昨シーズン、ミハイロビッチ監督が率いたサンプドリアとは第11節で対戦した本田。風邪をこじらせたこともあって完全に封じられ、後半14分で交代を命じられた。 (C) Alberto LINGRIA

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 もし、ミハイロビッチが仕事への情熱と自己犠牲の精神を高く評価する監督ならば、本田にとって、この監督人事は何ら問題ないだろう。彼のミランでのあり方は、今後も変わらないはずだ。
 
 ミハイロビッチは、本田に自分と共通したものを見出すだろうし、どうしたらもっと上達できるのかと尋ねる以外は、黙々と仕事に打ち込み、全てをチームのために捧げる本田の態度は、ミハイロビッチの目には完璧に映るだろう。

 つまり、本田は早いうちに新監督の信頼を勝ち取るに違いない。
 
 ミランがミハイロビッチを選んだのは、ここ最近、監督と選手たちの関係があまりうまくいっていなかったからだ。セードルフは、監督というよりはまるで大学の教授のようだった。ピッチのなかの架空の講堂で、コーチたちを引き連れ、まるで自分が主役というように振る舞って、高みから選手たちにサッカーを語った。
 
 反対に、インザーギは何が何でも選手たちを擁護し続けたが、そのせいで彼らは、どんな恥ずかしい敗退にも責任を感じなくなってしまった。また、あまりにもスタッフの意見を聞き入れすぎたことが、選手たちには決断力のなさと映り、結局は愛想を尽かされてしまった。
 
 こうしたことは、ミハイロビッチの下ではいっさい起こらないだろう。先にも述べたが、彼は典型的な鬼軍曹だ。良い仕事をすれば称賛するが、悪ければ容赦なく怒号が飛ぶはずだ。
 
 前任者たちの失敗を受け、経験のある監督の必要性をミランは感じていた。ミハイロビッチは指揮官として、9年のキャリアがある(うち2年はサブコーチ)。決して長くはないが、少なくともトップチームの監督が初体験だったセードルフやインザーギよりは、期待できる何かを持っている。
 
 では、彼の到来は良いこと尽くしで、心配の種は皆無なのだろうか?
 
 そこで予想される不安点は、やはりベルルスコーニとの意見の食い違いだ。ミハイロビッチはハードでアグレッシブなサッカーが好きだが、ベルルスコーニは繊細で技巧的なプレーを好む。
 
 おまけに今、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、ミランにビッグネームを連れてこようと画策中だ。
 
 そうなると、さすがの鬼軍曹も、質実剛健なだけではなく、多少は見栄えのする華やかなプレーも容認しなければならないだろう。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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