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「サッカーがメンタルスポーツである、と改めて認識した6試合」。反町技術委員長が東京オリンピックを総括

カテゴリ:日本代表

増島みどり(スポーツライター)

2021年08月20日

借りきった“結婚式場”に若手を誘い出した吉田麻也

キャプテンとして文字通りチームをまとめた吉田。ピッチでもオーバーエイジとしての役割を十分に果たした印象だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 田中碧(22歳=デュッセルドルフ)がメキシコ戦後、「世界は遠いな、と。彼らはサッカーを知っているけれど、僕らは1対1をし続けている(中略)そこが大きな差なのかな」とコメントしたのは、1対1の各論を追求する日本と、サッカーそのものを総論として捉えてプレーをするメキシコとの違いを、とても的確に表現したものだ。技術委員長があげた日本代表として「底力を備えたトータルのコンディション」も同じく、目前の試合という各論と、6試合全てを踏まえた準備をする総論を指し、ふたりの言葉には手をかけて掴めなかったメダルの理由と、その分析が込められている。

 メキシコ戦のアップを終え、ロッカーに引き上げる両チームの様子が印象的だった。日本は、疲労の色が隠せない表情でうつむき加減で引き上げる。一方メキシコは、ピッチの端に体格のいいフィジカルコーチが「ヨシ、来い!!」とばかりに立ち、ひとりずつ本気のタックルでコーチにぶつかってからロッカーに入って行った。身体が、というより、トーナメントに入って続いた2試合の延長戦、スペイン戦で振り切られたショック、と、メンタル、思考力の疲労から回復できないまま、メダルマッチに挑む選手の戸惑いが分かるように映った。
 
 コロナ渦での重圧もある。今大会、IOC(国際オリンピック委員会)が規定するプレーブック(感染対策のガイドライン)、サッカー協会独自の感染予防対策で、バブルは厳格に保たれ感染者を出さなかった。一方で、選手は気分転換に気軽に散歩もできない状態をも強いられる。

 もちろん工夫もした。オーバーエージで加わり主将を務めた吉田麻也(サンプドリア)は、バブル内のホテルで、使用されていない結婚式場を貸切ってもらい、そこを堂安律(PSVアイントホーフェン)らと歩く苦肉の策で、率先して気分転換に務めたという。

 今大会、多くの国が「メンタルコーチ」「心理カウンセラー」を帯同させていたのも、選手たちにとってより困難な時代のメンタル面のケアこそが、試合の結果を左右するとの前提からだ。スペイン、ブラジルはサッカー代表にも、アメリカやイングランド、メキシコは五輪選手団として、こうしたポジションに専門家を置いていた。選手だけではない。監督が高い緊張感、疲労、孤独の中でより良い決断をできる環境にあるかも大切な視点だ。「フィジカル、テクニックの次の強化」としても、メンタルに本格的にアプローチする時期なのかもしれない、と、取材を通して感じた。
 
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