【J2】5戦白星なし――開幕ダッシュに成功した千葉は、なぜ失速したのか

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2015年06月15日

ふたりのベテランの力によって立ち直れるか。

復帰が待たれる佐藤勇。チームが調子を取り戻すためのキーマンに挙げられる。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 果たして今の千葉に、開幕時の好調を取り戻せる手立てはあるのか。苦境から抜け出すために期待したいのは、かつての“強いジェフ”を知る歴戦の選手たちの存在だ。
 
 そのひとりがこの日、久々の千葉での得点も「勝たなきゃなんの意味もない。悔しい」と、厳しい表情を崩さなかった水野だ。
 
 水野は試合をこう振り返る。
 
「1点取られる前から、またいつもの悪い癖でラインが下がりすぎてしまった。そこらへんを修正していかない限り、失点を積み重ねてしまう。つなぐところとシンプルに蹴るところも明確ではないと感じる。選手間で(試合の)流れを読めていない。押し込まれている時は一回切って、前から守備をするというのも手だし、リードしている時はつないで相手を動かすことも必要。今日はそこらへんが中途半端だった」
 
 そして、この悪い流れを断ち切るために役目を果たしたいと力強く語る。
 
「練習やロッカーの雰囲気が悪いわけではない。ただどこかで、この流れを切らなくてはいけない。自分はそういう役目を担うために帰ってきたと思っているので、みんなに声をかけたりだとか、選手集めて話し合ったりだとか、そういうことをしていかなくてはいけないと思う」
 
 井出、町田、大岩、キム・ヒョヌンら若手が台頭するなか、確固たるリーダーが不在のチームで、水野の存在は非常に重要になりそうだ。
 
 そしてもうひとりが、現在は負傷中の佐藤勇だ。元々、パウリーニョと佐藤勇の2ボランチでスタートした今季は、前への果敢な守備を得意とするふたりに牽引されてチーム全員が身体を張ったディフェンスを披露していたように思える。
 
 佐藤勇が果敢に相手を潰しに行き、そこを外されたとしてもすかさずパウリーニョが潰しに行く。逆も然り。ふたりの連係は秀逸だった。
 
 現在、パウリーニョの相棒を務める佐藤健は、パフォーマンス自体悪くはないが、バランサータイプで常にチームの中心にポジションを取る。するとパウリーニョがひとりで前へ相手を潰しに行くと、ギャップが生じてしまう。
 
 佐藤勇が出場した開幕からの8戦は5勝2分1敗、逆に負傷後は3勝4分3敗。一概に比較はできないが、その存在の大きさはひしひしと伝わってくる。
 
 佐藤勇は現在、練習には復帰しており、ピッチに戻ってくる日もそう遠くはないようだ。果たしてベテランたちの力を借りて、千葉は再び昇格戦線に割って入ることができるのか。1位大宮との勝点差は10。これ以上離されないためにも、早急な変化が必要だ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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