【岩本輝雄の日本代表ぶった斬り】長友、香川にダメ出し。先制点の本田は高評価

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2015年06月13日

香川の出来は10段階で言えば「5」。

イラク戦では“中継地点”となり、中盤に埋没した香川に採点を付けるとしたら、岩本氏は10点満点中「5」と厳しく評価。写真:田中研治

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 懸念材料を挙げるとすれば、守備面でクロス対応がやや不安定だったし、ロングボールを入れられた時のCBの処理もルーズな場面が見て取れた。
 
 全体的にライン設定は高くしているだけに、その背後を狙われたり、GKとCBの間に落とされた時のリアクションは改めて確認すべきだと思う。
 
 個人で見ると、長友のパフォーマンスには不安を覚えずにはいられなかった。昨季は怪我などでコンディションを落として、まだまだ本調子でないのは承知しているけど、攻撃参加のタイミングには疑問を感じた。
 
 同サイドの宇佐美を追い越すシーンは何度かあった。だけど、言葉は悪いかもしれないけど、ただ走っているだけ。それでは相手からすれば怖くないし、クロスの精度も決して高くなかった。宇佐美とのコンビネーションもほとんど機能していなかった。
 
 ハリルジャパンの縦に速いサッカーでは、オーバーラップのタイミングを図るのは難しいのかもしれない。その点でもしかしたら苦労するのかもしれないけど、実績のある選手だけに、今後に期待したい。
 
 それから、香川も本来の実力からは程遠い内容だった。10段階評価で言えば「5」。ハリルジャパンのスタイルはドルトムントに近いから、もっと活躍してもいいはずだけど、イラク戦に関しては、彼はどちらかと言うと単なる“中継地点”になっていた印象だ。
 
 柴崎から本田に縦パスが入り、そこから岡崎に預けてからの落としに香川、なら分かる。でも、現状は香川を経由して岡崎または両サイドへ展開という流れで、3人目の動き出しでのリターンをなかなか受けられず、中盤に埋没してしまっていた。
 
 それを解消するためには、最終ラインやボランチのビルドアップに、香川は直接的に関与しないほうがいいと思う。チームとしてのボールの運び方の約束事があるのかもしれないけど、例えばボランチから岡崎に当てて、そこから宇佐美や本田に落としてから香川が裏に抜け出すとか、そういう動きをさらに意識すれば、香川のストロングな部分は発揮されてくると思う。
 
 もっと言えば、最終ラインから対角線上に斜めのロングボールをサイドに入れるようにする。そうすると相手のDFは本田なり宇佐美にまずは視線が集まる。そこでサイドのふたりがワンタッチで岡崎に入れると、今度は相手DFは岡崎に集中する。そうやって敵の意識を動かしている隙に、香川が裏に抜け出す。そこで岡崎から香川にパスが出れば、決定的なチャンスになる確率はグッと高まる。
 
 香川も長友と同じように、実力者であるのは間違いない。彼らが本来の力を発揮できれば、日本はもっと強くなれるはずだ。
 
取材・構成:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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