「自分にとっては、技能面というよりも、気持ちの面での支えですかね。結果を残せなくて、迷惑かけてしまったからこそ、競輪で結果を出したい、そう思えることが、自分のサッカー人生とつながっているのかなと思います」
――適性試験に向けのトレーニングをしていたということは、本格的にレーサーを乗り込んだのは、去年の12月くらいからですか?
「そうですね。半年くらいです」
――まだ課題は多いのでは?
「いろいろありますが、一番はスタンディング(静止した状態からの走行)ですね。怖がりすぎて、うまく操作できず、よいスタートが切れません。まだ1000mの卒業タイムに届いておらず、少し焦りも感じています」
――レーサー選びにも悩んでいると聞きましたが?
「タイムのことで先生方に相談したところ、レーサーが小さいのでは、言われまして、いろいろなフレームを試しているところです。自分に合うものを見つけて、カスタマイズしていくことが、最初の課題かもしれないです」
――周囲との差は感じますか?
「はい。経験豊富で、速い人たちばかりなので。劣っている部分だけが見えて、かなり落ち込んでいます」
――楽しさだったり、おもしろさだったりは感じられていますか?
「いまはまだつらい、苦しいなどの感情が大きいです。ポジティブな感情を持てるようになるのは、もっと速く、強くなってからだと思っています」
――養成所の生活面についてはどうでしょうか。もう慣れましたか?
「自分は規則やルールに縛られるのが本当に苦手で、まだ慣れません。高校時代も、高橋監督やヘッドコーチの金子さんに、生活面でかなり怒られていました。当時を振り返っても、これからを考えても、必要なことだと感じています。ここで人間的にも成長していかないといけないと思っています」
――競輪選手として、どんなビジョンを描いていますか?
「グレードレースでも存在感を出せる選手になりたいです。ただ、正直なところ、いまは卒業タイムを切ること、そこしか見ていません」
◇ ◇ ◇
「自分はサッカーでも、ラグビーでも失敗してきたので、きちんとかたちになってから話そうと思っていました」。
矢板中央のサッカー部へはこの進路を伝えていない。母校はインターハイ出場を決めており、監督やコーチ、仲間たちはこの記事を目にするだろう。
「期待を裏切ってしまって申し訳ありませんでした。たくさん迷惑をかけてしまったからこそ競輪の世界で結果を出して、皆さんに恩返ししたいです」。
そう伝えてください、と覚悟を決めた表情で、力強く話してくれた。
※『高校サッカーダイジェスト vol.33』(7月28日発売)より転載
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