ただし、目標を単にメダル獲得ではなく、金メダル獲得に絞るとなると話は別だ。それなりの運の助けはもちろんのこと、さらなるプラスアルファが必要となる。

　カギを握るのは三笘薫だ。

　東京オリンピックが延期となったこの１年間、最も大きく成長し、このチーム内での序列を上げたのは、間違いなく三笘である。昨年はルーキーシーズンながらJ１で規格外のプレーを次々に披露し、一躍東京オリンピックの主役候補に躍り出た。

　しかしながら、一昨年以前の三笘はこのチームの常連ではあったが、中軸を担っていたわけではなかった。実際、このチームでの三笘に関しては、必ずしもいい印象が残っていない。以前は３-４-２-１をベースにしていたチームにあって適性の高いポジションが見つからなかったにしても、物足りないプレーに終わることがほとんどだったからだ。

　もちろん、三笘が大化けした昨年は、コロナの影響で２月以降、このチームの活動がなかったという事情もある。もし何らかの試合や大会があれば、それまでとは違う姿を見せていたのかもしれない。
 

　だとしても、J１ではスーパーな活躍をする一方で、国際試合でも同じようなプレーができる裏づけがない。それが三笘の現状である。今年に入ってからの国際試合でも、その印象を完全に覆すには至っていない。

　三笘への期待と不安。そのどちらが現実のものとなるかで、メダルの色は変わってくるのではないかと思う。

取材・文●浅田真樹（スポーツライター）

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