国際的にも希少な剛柔自在のストライカー林大地。1トップのスタメン有力候補に名乗り

カテゴリ:連載・コラム

河治良幸

2021年07月13日

ディフェンスより有利な状況を作り、キープとワンタッチを使い分ける

上田が怪我明けで、前田はジョーカーとしての価値が高い。林がスタメンの有力候補になり得ると言ってもいいだろう。写真:JMPA代表撮影

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 さらに前からの守備でも貢献した林は久保、三好の鮮やかな繋ぎからゴール左でマークをうまく外してシュートに持ち込むが惜しくも外すと、冨安のフィードを三好が繋いだところに入り込むものの押し込めなかった。最も惜しかったのは29分のシーンで、田中碧からの縦パスは相手にカットされるが、それを堂安が回収して久保に縦パス。左足のアウトで出したパスをダイレクトで狙うが、シュートはGK正面で阻まれた。

 それでもチームの2点目となる堂安のゴールをアシストした林は「最初はキープして強引に前を向いてシュートに行こうとしたんですけど、律がすごく良い位置に入ってきたのが間接的に見えたので、そこは迷うことなく出した」と振り返る。チームが得点することを第一に考えながら、いかにチャンスにゴールという結果を出すかをイメージしているようだ。

 前線での振る舞いを見ていても、特別ターゲットマンとして構えているわけではないが、味方が組み立てる間にも微妙なところにポジションを取って、相手のディフェンスがマークしにくい状況を作り出そうとしているのが見て取れる。

 そして無理に関わろうとアクションを起こすことはないが、ボールが入ってくるところでは少しズレた場所でディフェンスより有利な状況を作って、キープとワンタッチを使い分けていた。

 交代前の60分には、左の中山雄太を起点に遠藤が浮かせたボールを堂安が走り込みながら胸で落としたが、惜しくも林に合わなかった。この試合では特に前半は日本がボールを持つ時間が長く、しかも相手ボールになっても即時奪回ができていたので、2列目の選手と近い距離のままプレーできていた。
 
 ただし、本番で日本が押し込まれる時間帯、なかなかボールを持てなくなった時間帯にどれだけ前線で頑張ってチャンスに結び付けられるかという視点で評価できる試合ではなかった。

 本番の最初に対戦する南アフリカはもちろん、メキシコやフランスも事前にスカウティングはするだろうが、裏抜けのスペシャリストのような見た目でありながら、強さと柔らかさを融合したポストプレーで起点を作る林は国際的にもあまりいないタイプで、守る側も非常にやりにくいはず。

 しかし、もともとバックアップだったとはいえ、上田の現在の状態を考えても、もう一人のFWである前田がジョーカーとしての価値が高いことからも林がスタメンの有力候補にもなり得るだけに、スペイン戦で再度チャンスを得た場合にどういう存在感を示して、結果につなげられるか改めてチェックしたい。

取材・文●河治良幸

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