決定力不足でドロー発進。それでもスペインが示したポジティブな可能性【現地発】

カテゴリ:国際大会

エル・パイス紙

2021年06月17日

突出した実力者はいないが

スウェーデン戦で決定機を外したモラタ。(C)Getty Images

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 ともあれ、スペインは可能性を示した。EURO2008を端に発する“メジャー大会3連覇”は語り継がれる偉業だが、初戦に対象を絞ると、EURO2008が白星(相手はロシア)、2010年W杯が黒星(同スイス)、2012EUROが引き分け(同イタリア)という結果に終わっている。最初の試合は各チームの力を測る物差しになるが、しかしそれが全てというわけではない。

 スペインの強みは、レベルの拮抗した選手が揃っていること。そのポジションで世界のトップ3、トップ4に入るような突出した実力者はいないが、大部分の選手が高い競争力を持ち併せている。
 
 そんな中、ルイス・エンリケ監督は就任以来、ベスト布陣を模索し続けてきたが、まだその作業は道半ばにある。スペインはEURO2012を制覇して以来、メジャー大会に参加するたびに辛酸をなめてきた。その悪い流れを断ち切るにはひとえに指揮官が抜擢し続けてきた若手の成長にかかっているが、その意味でスウェーデン戦でのパフォーマンスは今後に希望を抱かせるものだった。引き分けという結果が大きな失望を招いたことが事実だとしても、だ。

 スペインは組織的にまとまってプレーし、全ての選手から確たる意志というものも伝わってきた。プレーの継続性が高く、ここ最近の試合に比べて、集中力も維持できていた。つまり自分たちのアイデンティティを示した。

 問題はこのネガティブな結果をどう受け止めるかだろう。それもまた学びのプロセスの一つだ。このままトーンダウンし負のスパイラルにはまり込むことも、収穫を飛躍の糧にすることも、全ては彼ら次第だ。

 スタートで躓いたことでチームへの逆風がさらに強まることは避けられないだろう。しかし誰が何と言おうと、難敵スウェーデンを相手にスペインは評価に値する戦いを見せた。わたしはそう思う。

文●サンティアゴ・セグロラ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
 
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