優勝を決めるチャンスを逃した南野。自らの足で“期待の若手”のラベルを外せるか?

カテゴリ:ワールド

山口裕平

2015年05月18日

ひしめき合う同世代のライバルたち。若さは言い訳にできない。

ザルツブルクには南野と同世代の20歳前後の選手もすでに主力として活躍している。若さはなんの言い訳にもならない。(C) Getty Images

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 ザルツブルクはリーグ2連覇をほぼ手中に収めているが、南野のチームへの貢献は決して大きいとは言えない。多数のレギュラー候補とともに厳しいポジション争いに身を投じ、その争いをハイレベルなものにしてはいるが、まだまだ不動の存在だとは言い難い。
 
 今年1月にザルツブルクに移籍した南野は、すぐさまヒュッター監督の信頼を掴みスタメンとして起用されてきた。しかし、4月に負傷でメンバーから外れるとそれ以降はベンチスタートが続いている。すでにコンディションは戻り、練習でも十分にアピールできていると感じている南野だが、怪我をしている間にチームメイトにポジションを奪われてしまった形だ。
 
 自身も語るように、南野はまだ「チームの一員」でしかない。加入から半年、20歳という年齢を考えれば、多くを期待するのは酷なのかもしれない。クラブとしても即戦力というよりは、将来的な成長を見込んだうえで獲得を決断したはずだ。今季は試合に出て経験を積み、主力として活躍してもらうのは来季以降という見通しだろう。
 
 ザルツブルクで南野についての印象を尋ねるとポジティブな答えが帰ってくる。練習場のファンは「彼には将来性がある」と熱く語り、スタジアムの記者も「彼は有望な選手だね」と口を揃える。
 
「今は先発から外れているけど、それでも毎試合途中起用されているじゃないか」
 それが彼らの見方だ。南野は「期待の若手」のひとりに過ぎない。
 
 では、「期待の若手」として現状に甘んじるしかないのか。南野のポジションを奪ったラツァーロは1つ年下の19歳。すでにオーストリアのフル代表にも選出されている。さらに同い年のMFケイタはザルツブルクの将来を担う存在として期待を寄せられ、すでにチームにとって欠かせない選手になっている。ザルツブルクだけでなく欧州では若さを言い訳にすることはできない。
 
 2位のラピッド・ウィーンが勝利したため、ザルツブルクは再び次節の試合で、自力で優勝を決め得るシチュエーションを迎えることになった。途中出場が濃厚の南野に再びその機会が巡ってくるかは、天のみぞ知るところだ。
 
 南野は自らの足で「期待の若手」というラベルを、「優勝を決めるゴールを奪った選手」というラベルに張り替えなければならない。中田英寿や中村俊輔、香川真司といった日本代表を背負ってきた選手は、いずれもリーグ優勝を決定付けるゴールを奪ってきたのだから。
 
取材・文:山口裕平
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