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大迫勇也の台頭以前は本田抜擢の奇策も。日本代表の1トップ探しは常に最難関のテーマだからこそ…

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2021年05月26日

1年半前の二の舞を繰り返さないためにも、大迫依存脱却の道筋をつけておきたい

2016年11月のオマーン戦、サウジアラビア戦では1トップに大迫、トップ下に本田が起用された。写真:サッカーダイジェスト

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「アジア相手でも球際はある程度、来ると思いますけど、ドイツでも激しいところでやっているので、いつも通りやれば全く問題ない。ドイツへ行って最初の頃はその激しさも嫌だったけど、駆け引きもだんだん楽しくなった」と鮮烈な印象を残した大迫は堂々と発言。そのまま最終予選後半も1トップに定着し、ロシア本番では重要な初戦・コロンビア戦(サランスク)で値千金の決勝弾を叩き出す。こうして2度目のW杯で16強の原動力となった大迫が、森保ジャパンの攻撃の主軸を担い続け、現在に至っていることはある意味、当然の流れと言っていい。

 それだけ傑出したFWを見つけるのは至難の業。日本が出場した過去6回のW杯を見ても、絶対的FWと評していい存在だったのは、98年フランスW杯の中山雅史(磐田コーチ)、2006年ドイツW杯の高原直泰(沖縄SV)くらい。2010年南アフリカW杯の本田もあくまで緊急避難的な起用で、本人も「自分は1トップの選手ではない」と考えていた。本田と同時期に活躍した岡崎も代表50ゴールという偉業を達成してはいるものの、W杯では主にジョーカー役や右サイド要員に位置付けられた。レスター時代にはターゲットマンとしての能力を大きく伸ばし、世界と渡り合えるだけのフィジカル能力も養ったが、W杯でその実力を開花させるには至らなかった。

 絶対的地位を勝ち得た大迫にしても、代表デビューを飾った2013年東アジア選手権(韓国)から3年以上は代表で主力になれなかった。地道にドイツで屈強なDFとマッチアップを重ね、駆け引きや身体の使い方、タメの作り方を体得したからこそ、今がある。そういう人間の代役や後継者がすぐに見つからないのもやむを得ない部分はある。FW問題は日本サッカー界が抱える根深いテーマなのだ。
 
 だからこそ、大迫に何かアクシデントが起きたら、カタールW杯ベスト8どころか、最終予選突破も危うくなりかねない。実際、2019年アジアカップ(UAE)も彼が背中を負傷したことで苦戦を強いられた。決勝のカタール戦(アブダビ)こそ強行出場したものの、万全には程遠い状態だったのは明らかだ。1年半前の二の舞を繰り返さないためにも、大迫依存脱却の道筋を今回の5・6月シリーズで見つけておくこと。それを森保監督には強く求めたい。

 さしあたって浅野の状態をチェックしておくことは肝要だろう。U-24のFW陣4枚に関しても、最終予選やカタールW杯を戦えるだけのポテンシャルがあるかを厳しい目で見極めておくべきだ。ミャンマー戦から始まるA代表5試合、U-24代表2試合を絶対にムダにしてはいけない。

文●元川悦子(フリーライター)

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