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【バイタルエリアの仕事人】vol.5 川辺 駿|「一切無駄がなかった」広島の司令塔が語った理想の形と苦境との向き合い方

カテゴリ:連載・コラム

長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

2021年05月26日

苦難のシーズンにチームの司令塔はどう立ち向かう? 自身も「もっと気を遣わないといけない」とするのは…

5月20日に発表されたW杯アジア2次予選と国際親善試合に臨む日本代表メンバーにも選出された。さらにキャップ数を伸ばせるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 川辺の言葉通り、チームはいま難しい状況に置かれている。リーグ戦では序盤戦こそ8戦負けなし(4勝4分け)と好調な滑り出しを見せたものの、その後は思うように勝点を積み上げられず、インタビューを行なった5月17日時点では16試合を消化して5勝6分け5敗の10位につける(※その後、15節のセレッソ大阪戦に勝利して9位に上昇)。ボランチとして攻守の舵取りを担う川辺は、この苦境にどう立ち向かおうとしているのか。攻守両面での司令塔の考え方とは――。

――◆――◆――

 チームとしても、個人としてもみんなどうにかしたいというか、この状況を良い方向に持っていきたい気持ちは当然あります。ただ、ピッチの上では100%やっていても、勝点をしっかり積み重ねられていないのが最近の状況です。

 自分自身、ボランチとしてチームを引っ張っていかなければという想いでやっていますし、それを想いだけじゃなく、プレーでも示していかなければいけない。先日のガンバ戦で言えば、自分が結果を出すだけでなく、チームを勝利に導けた。もちろん、ゴールが取れても取れなくても、自ら先頭に立ってやっていくべきだし、一方で自分だけが良くてもチームが勝つのは難しい。

 自分が良いプレーをするのと同時に周りも引き込んで、チームメイトの良いプレー、気持ちのこもったプレーをどんどん引き出していきたいですね。それが、自分にとってもチームにとっても本当にいいこと。ただし、それが徐々に多くはなっているんですが、もっと増やさないといけない。単に“頑張る”だけじゃダメだと思うし、チームでしっかり意思統一して、局面局面で戦って勝っていかないといけません。

 チームの現状としては、攻撃と守備にかけるバランスがあまり良くない。やっぱり昨シーズンに比べて失点が多く、得点も取れていない。ゴールを奪うために、前掛かりになる気持ちも分かるけど、こうして勝点を奪えていない現状を見ると、やはりバランスの悪さを感じます。

 例えば、攻撃の時に左右両サイドが同じくらいの高い位置まで上がってしまったなかで、ボールを奪われてしまうと一気にピンチになる。今シーズンは何度かそんな場面がありましたけど、やっぱり攻撃でも常に奪われた時のことを考えてプレーしなければいけない。

“前掛かりになる”というのは、人数を必要以上に掛けることではないと思います。個々のプレースタイルの特徴を考えつつも、どこでバランスを取り、どこでリスクを冒すのか。自分自身ももっとそこに気を遣わなければいけないし、周りにもそれを伝えていかないといけないですね。

 また、チーム内のバランスで言えば、誰に何をやらせるか、というのも非常に重要な要素です。例を出すのは難しいんですが、やっぱり守備は誰が得意で、攻撃は誰が得意なのかというのは、みんな認識できているはずなので。もちろん、攻守両面である程度のことはやらなければいけませんが、90分を通じて攻撃が得意な選手に7割守備をやらせるのは簡単ではない。攻撃の得意な選手の守備の比重を、守備の得意な選手が受け持ち、攻撃の得意な選手に上手くパワーを使ってもらうというのも重要です。それも大きくまとめればバランスでしょうし、これを誰にやらせて誰にカバーしてもらう、という役割分担もチームにとっては重要ですね。
(※後編に続く/次回は5月27日に公開します)

◆プロフィール
川辺 駿(かわべ・はやお)/1995年9月8日生まれ、広島県出身。178センチ・70キロ。A型。広島高陽FC―サンフレッチェ広島Jrユース―サンフレッチェ広島ユース―サンフレッチェ広島―ジュビロ磐田―広島。15年の磐田移籍がキャリアの転機となり、18年の広島復帰後は怪我なくタフに戦い続け、ボランチとして不可欠な主軸に成長した。昨季からはクラブレジェンドの森﨑和幸から継いだ「8番」を背負うチームの象徴だ。

取材・構成●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
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