「日本代表の経験があったからこそ、育成では考えることの大切さを伝えている」
サッカーにおける攻守の重要局面となる「バイタルエリア」。ゴールや失点に直結する“勝負の肝”となるスペースをいかに攻略するか、死守するかは、多くのチームにとって不偏のテーマだろう。そんな「バイタルエリア」で輝きを放つ選手たちのサッカー観に迫る新連載のインタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第2回はサイドバックでクロスの名手、元日本代表の市川大祐氏だ。後編では、現在清水U-15の監督を務める指導者として、育成年代の選手たちに伝えていることを掘り下げていく。
市川大祐氏は現役高校生時の1998年にJリーグデビューし、瞬く間に日本代表に選出。清水でも伊東輝悦 、澤登正朗に次ぐクラブ歴代3位となる325試合に出場した。世界を知り、下部組織からトップまで知り尽くしたスペシャリストが望むものは……。
――◆――◆――
98年のフランス・ワールドカップでは、最終メンバーで落選して、日韓大会への想いが強くなりました。2002年は自分で掴み取らないといけないと。
実際にワールドカップの場に居られたことにうれしさも感じましたし、より責任感というか、自分のプレーを世界の舞台でどれだけ出せるか。そういうところはすごく考えていましたね。
代表クラスの選手であっても得意不得意というのはもちろんある。いかにそこで自分のストロングを引き出せるか。自分としてはキックにこだわりを持っていて、参考にしていたのはデイビッド・ベッカムです。キックの質というか、パスひとつ、キックひとつで全てを変えてしまう。相手が読んでも取れない、その上を行くクロスというのが、憧れでもありました。
市川大祐氏は現役高校生時の1998年にJリーグデビューし、瞬く間に日本代表に選出。清水でも伊東輝悦 、澤登正朗に次ぐクラブ歴代3位となる325試合に出場した。世界を知り、下部組織からトップまで知り尽くしたスペシャリストが望むものは……。
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98年のフランス・ワールドカップでは、最終メンバーで落選して、日韓大会への想いが強くなりました。2002年は自分で掴み取らないといけないと。
実際にワールドカップの場に居られたことにうれしさも感じましたし、より責任感というか、自分のプレーを世界の舞台でどれだけ出せるか。そういうところはすごく考えていましたね。
代表クラスの選手であっても得意不得意というのはもちろんある。いかにそこで自分のストロングを引き出せるか。自分としてはキックにこだわりを持っていて、参考にしていたのはデイビッド・ベッカムです。キックの質というか、パスひとつ、キックひとつで全てを変えてしまう。相手が読んでも取れない、その上を行くクロスというのが、憧れでもありました。
代表チームでは思ったところにボールも来るし、伝えたことがすぐに次のプレーに反映される。そこに対しての妥協はなく、強い要求が来ますし、それが形になった時にゴールになる。一瞬の判断や決断が特に重要で、常に頭を使い続けていたイメージがあります。
さらに代表戦であれば、満員の観客のなかで声も届かないような状況でプレーする。プレーの一つひとつで会話をするというか、ボールひとつで読み取るというか。そういうところでお互いコミュニケーションを図っていました。
そんな経験があるからか、2017年から清水で育成に関わるようになり、考えることに関しては常に選手たちに伝えています。育成年代でバイタルエリアを意識させると、そればかりになってしまう。だからもう少し大きく捉えて、出来る限りゴールの近くで前向きの形を作りたいとあえて限定しない伝え方をしています。
そこから選手たちが身体の向きであったり、入れるボールの質であったり、そういう部分を工夫して、なぜそういう判断になったのか、本当にそのプレーが今の状況で一番有効なのかを考えるようになってほしいと思っています。
さらに代表戦であれば、満員の観客のなかで声も届かないような状況でプレーする。プレーの一つひとつで会話をするというか、ボールひとつで読み取るというか。そういうところでお互いコミュニケーションを図っていました。
そんな経験があるからか、2017年から清水で育成に関わるようになり、考えることに関しては常に選手たちに伝えています。育成年代でバイタルエリアを意識させると、そればかりになってしまう。だからもう少し大きく捉えて、出来る限りゴールの近くで前向きの形を作りたいとあえて限定しない伝え方をしています。
そこから選手たちが身体の向きであったり、入れるボールの質であったり、そういう部分を工夫して、なぜそういう判断になったのか、本当にそのプレーが今の状況で一番有効なのかを考えるようになってほしいと思っています。