そのうえで、甲府戦はひとつのチャンスだと思ったが、前半に２失点。同様に２失点した磐田戦も、立ち上がり早々にゴールを許している。「このリーグに残るためには、守備の安定が絶対に必要」と三浦監督は言い続けてきた。看過できない事態が目の前にある。大事にしてきた土台が揺らぐ可能性がある。

「ここは俺がしっかり判断して、根本の基礎固めをやりながら、状況を見て積み上げていかないと。このままなんとなく土台が揺らいだまま、次のステップでいろいろ柱を立てたり、壁をつけたりしても、結局、風が吹けばグラグラしてしまう」

　現実的かつ“堅実さ”にフォーカスしたサッカーで立て直しを図る。ただ完全にリセットはしない。できるようになったところは残す。修正すべきところに手をつける。

「３歩進んで、３歩下がるのではなくて、３歩進んで、違和感があったりノッキングしたら、１歩下がってみたり。全体的に今は下向きになっているから、ズルズルと行かないように。１歩か２歩、下がる。また３歩、出るために」

　磐田戦と甲府戦の連敗で、降格圏の21位に沈んでしまった。だが、三浦監督は慌てていない。動じていない。「そんな簡単にはいかないと思っていたから、ある意味、想定内といえば想定内かもしれない」。むしろ、闘志にまた火がついた。

「良い時は誰でもやれる。こういう時に何ができるか」

　甲府戦のあと、三浦監督はまずスタッフだけを集めたという。「こういう時こそまずスタッフがひとつになって、仕事をしないといけない」。選手たちに対してはポジティブに働きかける。もしネガティブな雰囲気になっていれば、「ちゃんとつかまえて話を聞いて、こっち側に戻す。それは絶対に大切だから」と改めて伝える。「スタッフがしっかり一枚岩になって、選手たちにアプローチしたら絶対にブレない」という考えだ。
 

　今が踏ん張り時。三浦監督率いる相模原は、いかに這い上がっていくか。いかに逆境に立ち向かっていくか。

「絶対にまだまだこんなことは、いっぱいあると思う。あと33試合あるから。そのたびに試行錯誤して、自分たちで見つけていかないと」

　辛抱強く、トライ＆エラーを繰り返す。「ここでやらないとダメでしょ、監督なんだから」と気合いは十分。「相手のことはリスペクトして、ただし向かっていくところは向かっていく」。次節はアウェーでのジェフユナイテッド千葉戦。「能力のある選手がすごくハードワークしているから、堅いし、強い。チームとしてまとまっている」。そんな強敵から勝点を奪い、また力強く前進したい。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストweb編集部）

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