【識者コラム】明暗クッキリの日韓戦、なぜ今回は日本の完勝に終わったのか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2021年03月26日

依然として確固たる答えが見つからないのは3つのポジションだ

今回は日本の完勝に終わった日韓戦。試合後は顔見知りの選手同士が語り合う場面も見られた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 韓国の長所は個で打開できる前線のタレントなので、吉田麻也も指摘した通り、ソン・フンミン以下エース級が揃いターゲットが明確になれば、自ずと戦い方も変わり別のチームになるはずだ。だから相手が切り札不在の韓国戦は、勝利が約束された試合とも言えた。特にMFエリアでの優位性は顕著で、韓国のビルドアップはサイドハーフにつけるのが精一杯で、中央につけようとすればことごとく経験豊かな日本選手たちの読みとハードワークの餌食になった。冨安健洋、吉田の両CB、そして遠藤航、守田英正と骨格が安定した日本は終始主導権を握り続けたので、新しく招集された選手たちもリーグで培った自信のままにプレーし持ち味をアピールした。

 先制点を叩きだした山根視来も、国内ではレフティでサイズにも恵まれた稀有な選択肢となる小川諒也も、Jリーグでは充実の境地にある古橋享梧や江坂任も、このラインナップの中に入りアジア予選を戦うなら、いつでも問題なく順応できることは示した。さらにリードして手堅くカウンターを狙うなら、改めて大迫勇也→浅野拓磨というカードの切り方も効果的だ。

 だが彼らはすでに十分に能力を証明してきた中堅以上の選手たちなので、新しい発掘というよりは最終確認に近かった。さらに世界の舞台を想定するなら、劣勢の厳しい局面でのテストが要る。むしろカタール・ワールドカップを目指す指揮官が注視したいのは、今回は横内昭展監督に託しているU-24代表の方だろう。

 多士済々の2列目はもちろん、田中碧の台頭が著しいボランチも遠藤を核に激戦区で、ほぼ不安はない。依然として確固たる答えが見つからないのは3点。①大迫不在の選択肢、②左SB、③そしてGKだ。①はヒントが仄見え、③は競争を促し見極めていくしかないが、②は板倉滉らの成長次第では冨安を回すという贅沢な選択も浮上してくるのかもしれない。

取材・文●加部 究(スポーツライター)
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