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鎌田大地の評価は、なぜ二分しているのか? 日本人選手がドイツで批判される理由を読み解く【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2021年02月19日

背番号15は、ピッチで少しずつ感情を出すようになってきた

ホッフェンハイム戦では、コスティッチ(10番)と息の合っているところを見せた。 (C)Getty Images

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 メンタル面での影響は、プレーに表われることも少なくない。ボールを奪われた際に数秒でもその場で立ち尽くしたり、頭を抱えたりしようものなら、チームそのものに迷惑がかかる。守備を頑張った証に走り回るのではなく、ボールをロストした後に決死の表情を浮かべ、全力で追いかけてボールを奪い返そうとする。そうした選手の思いと姿勢に、ファンは拍手を送るのだ。

 たとえば、長谷部誠は肉弾派でもなく、ハードさが売りでもない。しかし、「インテリジェンスのある、フランクフルトで一番サッカーがうまい選手」としてファンから絶大な信頼を得ている。

 つまり、プレースタイルそのものの話ではないのだ。長谷部はひとつひとつのプレーに妥協しない。ミスをしたら取り返すべく全力でポジションに戻る。味方のさぼりを怒鳴りつけ、チームがいつでも100%の力を出し切るために何をすべきかを理解し、実行している。そのパッションがいまでも燃え続けているのを、ファンはモニター越しにも感じ取ることができる。
 
 それに、鎌田はここ最近、ピッチ上でエモーショナルな姿をよく見せているように思う。うつむく回数は格段に減ったうえ、球際の激しさも見て取れる。そして、その姿を指揮官もきちんと認め、見守っているのだ。ホッフェンハイム戦後にアディ・ヒュッター監督が次のように語っていた。

「ダイチは彼の持つ天才性で違いを生み出すことができる、クリエイティブな選手だ。それを今日は見せてくれた。彼の意思を、試合開始から見せてくれたと思う。とても存在感があり、ボールを何度も奪い、1対1の競り合いに激しくいき、しっかりと相手守備を潜り抜けていた」

 これから波はまだあるかもしれない。流れに乗れないときもあるだろう。だが鎌田はそうした自分と向き合い、らしさを損なわずに、チームのためにできることに取り組んでいる。彼はそうやって昨シーズンも大きな成長を遂げてきたのだ。今の取り組みが今シーズン終了時に、あるいは来シーズンにどんな形で実を結ぶのか、楽しみに見守りたい。

 
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
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