南葛SCの新指揮官が描く発展と進化——「面白くて強いサッカー」その実現への道筋とは?

カテゴリ:連載・コラム

伊藤 亮

2021年02月23日

「戦術より個の能力があって、個の能力が戦術になっていく」

昨季から南葛SCの一員となった元C大阪の楠神。高い技術を誇るアタッカーだ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

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 森監督は「戦術より個の能力があって、個の能力が戦術になっていく」ことを強調する。「その方が監督としても楽ですし」と笑うのはご愛敬だ。

 勝利の確率を上げるために、きっちり定めた戦術や決まり事に選手たちを当てはめるやり方もある。いわば論理的なサッカー。論理的なサッカーは確実性が高くプレーの予測がつきやすい。論理的なぶん選手たちはやるべきことを共有しやすくなり、予測ができるぶんカバーもし合える。一方で、相手にも予測されやすく、研究され対策を打たれやすくなる。一長一短があるが、これが「個より戦術がある」ひとつの例だ。

 では「戦術より個がある」とはどういうことか。
「次に何が起こるか分からない、いい意味での意外性、驚きがある。これは個々が技術を伸ばし判断できるようになればできます。ベンチにいる我々ですら“え、そこに出す!?”とワクワクするようなプレーが出た方が楽しい。選手にはそのようなプレーができるように働きかけたいですし、実際に練習ではそういったシーンが出ています。ですので、ある意味僕は今の時点で、すでに楽しませてもらっています」

 選手たちの技術で創造する予測不能なプレー。それが連なることでゴールにつながり、勝利へと結びつく。いわば自由なサッカー。そんなファンタジックなプレーができれば最高に楽しい。そこにはもちろん難しさが伴うが、個々の技術さえあればカバーすることができる。逆に捉えれば、個々の技術が向上すれば向上するほど、自由なサッカーの威力はどこまでも増していく。

 監督が戦術を敷いて勝ち方を決めれば、勝ち方は限られる。一方で、選手が自由に勝ち方を創造していけば、勝ち方は無限だ。南葛SCが求めるのは——後者の勝ち方だ。そして、今の南葛SCには素地となる技術がすでにある。
 
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