【取材記者の視点】鎌田のスーパーゴールを栗原はなぜ“傍観”したのか?

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2015年04月14日

数秒間のなかで様々な状況を描いて準備する。

【警告】横浜=齋藤、小林 仙台=渡部、野沢
【退場】なし
【MAN OF THE MATCH】六反勇治(仙台)

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 鎌田のマークにつかなかったのは、もうひとりエリア内に侵入してくる奥埜博亮も見えていたからでもあるのだろう。「(鎌田に)つきすぎても、逆にそれも怖いから」というコメントもあったが、即座に鎌田をケアしていれば失点しなかったというのは結果論であって、もしかしたらクロスがそのまま奥埜に渡って決められていた可能性もある。
 
 つまり、ウイルソンがセンタリングを上げる瞬間、栗原はふたりを見なければいけない状況だった。となれば、ゾーンという選択も間違いだったとは言い切れない。
 
 もちろん、鎌田のボレーを予測しておくべきだったし、エリア内で相手との距離を空けることのリスクを優先的に考えたほうが良かったかもしれない。一方では、鎌田が折り返して奥埜がシュート、というケースであれば、栗原は十分に対応できたはずで、ゾーンという決断が評価されただろう。
 
 結局は“たら・れば”の想像になってしまうが、あの数秒間のなかで栗原が様々なシチュエーションを描いて準備をしていたのは事実だ。逆に鎌田からすれば、相手の守備体制を見て、“ボレーしかない”と判断したのかもしれない。
 
 瞬時の決断が迫られるゴール前の攻防には様々な思惑が交錯しているし、得点が生まれる理由はひとつではない。中澤佑二は「なぜあそこに相手のCBがいたのか。それを誰かが周りに伝えられれば良かった」とコーチングの重要性を説く。
 
 鎌田のシュートは見事だったし、横浜守備陣はそれを防げなかった。事実を述べればほんの一行で済むが、いくつかの角度から観察することで、また違った側面でゴールの醍醐味を味わい、そこに関与する選手たちの心理を深く読み解けるはずだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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