「ディープ・プレーメーカー」をどう考えるか。
山中:それはイングランド代表監督になった場合も、まったく同じですよ(笑)。
ただリバプールに関して言えば、セットプレーにおける守備の役割分担を徹底したりするだけでも大分違ってくると思う。スウォンジー時代やリバプールでの1シーズン目は、戦術がワンパターンの監督という印象が強かったけど、今シーズンも、3バックにシステムを変更した直後は調子が良くなったりしたし、試合の中で3バックから中盤がダイヤモンドの4-4-2、最後は3トップ気味で終わるような戦い方もできるようになった。
攻撃における戦術の引き出しが増えているだけに、守備の緩さがもったいない。
田邊:戦術論に関して言うと、「ディープ・プレーメーカー(ボランチが深い位置に下がってゲームメークを担当する方法)」をどう考えるのかも、焦点の一つになってくるのかなと。攻撃的なポジションにタレントが揃っているとはいえ、守備ラインは本質的に盤石じゃないわけだから、なおさらボランチは重要になるはずで。
山中:ベニテス監督の頃のように、カウンター一辺倒のサッカーをするようにはなったりしないにせよ、深いところで相手の攻撃の芽をきっちり摘み、ボールをさばいていく「盾」がひとりいるだけで、かなり安心感は出てくる。システムの違いにこだわらず、本当はロジャースも、そういう選手が欲しいでしょうね。
田邊:でも実際には、いまだにルーカスが重用されたりしている。
山中:今のリバプールではきちんと機能しているけど、プレミアのビッグクラブのレギュラー級と比べた場合には、かなり小粒な感は否めない。タックルやカバーリングに優れているわけでもないし、奪ったボールをすぐに展開できるわけでもない。攻撃でも守備でも「繋ぎ役」に留まっている。
田邊:ましてや来シーズンからは、ジェラードがいなくなってしまう。後継者の候補としてはヘンダーソンの名前も挙がってきているけど、やはりリバプールという名門の屋台骨、しかも一番肝になる「臍」を任せられるかというと……。
山中:微妙でしょうね。彼も中盤の底をきっちりカバーするというよりは、前に行かせてもらうことで力を発揮できるタイプですから。
今のジェラードはお守り的な要素が強くなっているにしても、ゲームの展開があやしくなってきた時に、精神的に頼れる選手がいるのといないのとでは相当違う。
田邊:味方を周りに集めて円陣を組んで、檄を飛ばせるような選手も他にいないからね。
それにプレースタイルに関して言えば、ジェラードは深いところから前に攻め上がれるし、いざとなれば中盤の底まで戻ってこようとする。ボックス・トゥ・ボックス型のMFは、4-4-2とセットでネガティブな意味で論じられたりもするけど、前と後ろが分業化しすぎると不具合が出てきてしまうのも事実で。これもまた、MFの役割やプレースタイルを、どう考えるかという議論に関連してくる。
ただリバプールに関して言えば、セットプレーにおける守備の役割分担を徹底したりするだけでも大分違ってくると思う。スウォンジー時代やリバプールでの1シーズン目は、戦術がワンパターンの監督という印象が強かったけど、今シーズンも、3バックにシステムを変更した直後は調子が良くなったりしたし、試合の中で3バックから中盤がダイヤモンドの4-4-2、最後は3トップ気味で終わるような戦い方もできるようになった。
攻撃における戦術の引き出しが増えているだけに、守備の緩さがもったいない。
田邊:戦術論に関して言うと、「ディープ・プレーメーカー(ボランチが深い位置に下がってゲームメークを担当する方法)」をどう考えるのかも、焦点の一つになってくるのかなと。攻撃的なポジションにタレントが揃っているとはいえ、守備ラインは本質的に盤石じゃないわけだから、なおさらボランチは重要になるはずで。
山中:ベニテス監督の頃のように、カウンター一辺倒のサッカーをするようにはなったりしないにせよ、深いところで相手の攻撃の芽をきっちり摘み、ボールをさばいていく「盾」がひとりいるだけで、かなり安心感は出てくる。システムの違いにこだわらず、本当はロジャースも、そういう選手が欲しいでしょうね。
田邊:でも実際には、いまだにルーカスが重用されたりしている。
山中:今のリバプールではきちんと機能しているけど、プレミアのビッグクラブのレギュラー級と比べた場合には、かなり小粒な感は否めない。タックルやカバーリングに優れているわけでもないし、奪ったボールをすぐに展開できるわけでもない。攻撃でも守備でも「繋ぎ役」に留まっている。
田邊:ましてや来シーズンからは、ジェラードがいなくなってしまう。後継者の候補としてはヘンダーソンの名前も挙がってきているけど、やはりリバプールという名門の屋台骨、しかも一番肝になる「臍」を任せられるかというと……。
山中:微妙でしょうね。彼も中盤の底をきっちりカバーするというよりは、前に行かせてもらうことで力を発揮できるタイプですから。
今のジェラードはお守り的な要素が強くなっているにしても、ゲームの展開があやしくなってきた時に、精神的に頼れる選手がいるのといないのとでは相当違う。
田邊:味方を周りに集めて円陣を組んで、檄を飛ばせるような選手も他にいないからね。
それにプレースタイルに関して言えば、ジェラードは深いところから前に攻め上がれるし、いざとなれば中盤の底まで戻ってこようとする。ボックス・トゥ・ボックス型のMFは、4-4-2とセットでネガティブな意味で論じられたりもするけど、前と後ろが分業化しすぎると不具合が出てきてしまうのも事実で。これもまた、MFの役割やプレースタイルを、どう考えるかという議論に関連してくる。