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「ヴェンゲルが嫌った」“デラップ砲”も根付いてはいない。英国人記者が読み解くロングスローの意義【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

スティーブ・マッケンジー

2021年01月12日

リバプールのスローイン専門コーチの見解は?

今年の選手権で注目を集めたロングスローからの得点。その在り方はイングランドではどう捉えられているのだろうか。 (C) SOCCER DIGEST

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 昨今、スローインの重要性に対する認識は広まっている。プレミアリーグの王者であるリバプールは2018年にデンマーク人のスローイン専門コーチ、トーマス・グレンマーク氏を入閣させた。

 だが、結局のところ、ロングスローは対策をされやすいという傾向にある。米スポーツ専門ネットワーク『ESPN』は、“デラップ砲”を要したストークも同じ相手と対戦を重ねるごとに守り方を練られ、効果が薄れていったという興味深いレポートも掲載している。

 対策が講じられたことに加え、文化とアイデンティティも影響を及ぼしているかもしれない。グレンマーク氏は、先述のレポート内でロングスローに関して、次のように語っている。
 
「リバプールもロングスローから点を取ろうと思えば取れるだろう。だが、プレミアリーグでそれをやろうと思えば、最低でも8回から10回のチャンスがないといけない。それにディフェンダーを上げ、ポジションを取ったりと、すべてをセットするのに時間がいるんだ。それではトップチームのプレースタイルの魅力を失うことになる」

 仮にバルセロナがロングスローを頻繁にやれば、美しさを求めるスペイン国内をはじめ、多くの人々から「何をやっているんだ」と叩かれる可能性がある。イングランドでもストークのような中位クラブがやっても批判の対象にはならないが、リバプールやマンチェスター・ユナイテッドが取り入れれば、好意的に捉えられないのは想像に難くない。だからこそ、ロングスローを多用するチームが少ないのではないかと考えている。

 私は日本の高校サッカーの現状を詳しく把握していないが、特定のチームが、ロングスローで賛否を巻き起こしている原因は、そのチームが単純に勝つことだけを求められていないからではないだろうか。

【動画】1試合3ゴールを奪った青森山田の驚異的ロングスローをチェック!

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。
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