【識者コラム】災いは福に転じたか――奥深い能力の一端を示した新監督の辣腕ぶり

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年04月01日

指揮官のタクトは確信に満ち、仕事ぶりは水際立っている。

「球際の厳しさ」「縦に速い攻撃」という方向性を明示する一方、指揮官は個々のポジション適性や起用法にも解釈を提示した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 わずか2試合で新監督は、確実に改革を促し、奥深い能力の一端を示した。「球際に厳しく、縦に速くという世界基準」(同監督)を徹底しながら、ふたりのGKを除く全員をピッチ上で観察し、同時に個々の選手に対する解釈を提示した。
 
 例えば前任ふたりは、厳密に基準に照らせば条件に合致しない宇佐美貴史の招集を見送って来たが、ハリルホジッチ監督は2試合ともに後半途中からジョーカーとして使った。もちろん宇佐美の攻撃的な資質は誰もが知っている。
 
 だが現状では互いにフルパワーで激突するスタメンではなく、ジョーカーという位置づけなのだろう。確かに守備に貢献しようという意識は芽生えている。しかしまだまだ寄せは甘いし、守備から攻撃への切り替え時に出遅れもある。
 
 またハビエル・アギーレ前監督同様に、柴崎への適性評価もボランチではなく攻撃的MFであり、スタメン定着のためには、遠藤保仁ではなく香川を超えていく必要があるのかもしれない。逆に今野泰幸は読みと寄せの鋭さと厳しさで、青山は縦への展開の判断の速さと的確さで、指揮官の描くボランチ像を具現したとも言える。
 
 さらに後半からは、本来CBの水本裕貴を、ボランチとして相手のエース、サルドル・ラシドフのマークにつけた。
 
 自分の眼で確かめ、試したい選手を呼び、明確な方向性を提示した上でチャンスを与え競わせた。タクトは確信に満ちて、仕事ぶりも水際立っている。結果論ではあるが、災いは福に転じた可能性は高い。
 
文:加部 究(スポーツライター)
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