清水加入内定のエース加藤と話し合い。能力の高い選手だからこそ期待すること

元Jリーガーであり、ビジネスマンでもある外池監督(左から3番目)。写真:徳原隆元

リーグ戦ではゴールも決めている期待の1年生FWの奥田。新たな戦力の台頭でチーム内競争も激しくなりそうだ。写真:安藤隆人
サッカー選手として個の成長は最重要事項であることは間違いないが、社会人としては1つのプロジェクトを立ち上げ、プレゼンし、ディスカッションとグループワークを経て、目標を達成していくというサイクルを身につけさせることも重要視している。
「サッカー選手である前に一社会人であるべき。卒業後にプロに進む選手だけでなく、社会人になる選手も、チーム(企業)の一員として、大卒として自分の価値をどうやって作り出し、それをどう周りに認識してもらって、かつ周りを巻き込んで目標に突き進んでいけるかが重要になります。そこから逆算し、今ここで何をすべきかという判断基準がそれぞれに生まれる。そこをお互いがチームのためにしっかり発揮する、主張しあえたときに初めて高いレベルで刺激し合える仲間になると思っています」
例えば加藤に関して言えば、プロ内定が発表されてから、来季以降、清水と早稲田大の両立をどうしていくべきかを真正面から話し合った。
「彼のようなJリーグを見渡しても、ここ最近いないような能力の高い選手がプロの世界にチャレンジすることは早稲田としても大きなこと。その一方で早稲田大でもプロ内定選手として周りから要求のレベルも上がってくるし、それをプレーで示さないといけない。加藤はそれをトライできる権利を掴んだことで、新たな試行錯誤が始まったと思う。だからこそ、良い意味でもがいてもらって、自分とどう向き合うか、どうすればこれまでとは違う新たな成長を作り出せるか。それをなくして日本を代表するエースになっていかないと思う」
選手の意思を理解しながらも、かといって単なるわがままにならないように、議論と方向性をきちんと示す。12月5日のリーグ戦での慶應義塾大との重要な早慶戦で、負傷を抱えていた加藤ではなく、期待の1年生FW奥田陽琉をスタメンに抜擢。9日の筑波大戦でも奥田をスタメン起用し、大学リーグ初ゴールをマークして勝利に貢献をした。
「加藤がベンチスタートだったり、誰かがいない状態でもそれ以外のメンバーで乗り越えていくことが全体の価値の証明になります。僕が何かを伝えるのではなく、チームの現状を把握しながら、試合をこなすごとに新たなきっかけや力が生まれてくる。それをどう選手自身が感じて成長につなげられるのか、もちろんプレッシャーやネガティブに捉えてしまう選手もいるので、それはこっちがしっかりとフォローしながらやっています。加藤は自分の置かれている状況を感じ取ることができる選手だからこそ、奥田の活躍をどう捉えて、自分の力とチームの力に変えていけるか楽しみでもあります」
サッカーを通じ、ひとりの主体性を持った自立した人間の集合体として。就任3年目の外池監督率いる早稲田大ア式蹴球部は、プロ選手だけでなく、これからの社会で通用する人材を生み出していく。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
「サッカー選手である前に一社会人であるべき。卒業後にプロに進む選手だけでなく、社会人になる選手も、チーム(企業)の一員として、大卒として自分の価値をどうやって作り出し、それをどう周りに認識してもらって、かつ周りを巻き込んで目標に突き進んでいけるかが重要になります。そこから逆算し、今ここで何をすべきかという判断基準がそれぞれに生まれる。そこをお互いがチームのためにしっかり発揮する、主張しあえたときに初めて高いレベルで刺激し合える仲間になると思っています」
例えば加藤に関して言えば、プロ内定が発表されてから、来季以降、清水と早稲田大の両立をどうしていくべきかを真正面から話し合った。
「彼のようなJリーグを見渡しても、ここ最近いないような能力の高い選手がプロの世界にチャレンジすることは早稲田としても大きなこと。その一方で早稲田大でもプロ内定選手として周りから要求のレベルも上がってくるし、それをプレーで示さないといけない。加藤はそれをトライできる権利を掴んだことで、新たな試行錯誤が始まったと思う。だからこそ、良い意味でもがいてもらって、自分とどう向き合うか、どうすればこれまでとは違う新たな成長を作り出せるか。それをなくして日本を代表するエースになっていかないと思う」
選手の意思を理解しながらも、かといって単なるわがままにならないように、議論と方向性をきちんと示す。12月5日のリーグ戦での慶應義塾大との重要な早慶戦で、負傷を抱えていた加藤ではなく、期待の1年生FW奥田陽琉をスタメンに抜擢。9日の筑波大戦でも奥田をスタメン起用し、大学リーグ初ゴールをマークして勝利に貢献をした。
「加藤がベンチスタートだったり、誰かがいない状態でもそれ以外のメンバーで乗り越えていくことが全体の価値の証明になります。僕が何かを伝えるのではなく、チームの現状を把握しながら、試合をこなすごとに新たなきっかけや力が生まれてくる。それをどう選手自身が感じて成長につなげられるのか、もちろんプレッシャーやネガティブに捉えてしまう選手もいるので、それはこっちがしっかりとフォローしながらやっています。加藤は自分の置かれている状況を感じ取ることができる選手だからこそ、奥田の活躍をどう捉えて、自分の力とチームの力に変えていけるか楽しみでもあります」
サッカーを通じ、ひとりの主体性を持った自立した人間の集合体として。就任3年目の外池監督率いる早稲田大ア式蹴球部は、プロ選手だけでなく、これからの社会で通用する人材を生み出していく。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)