スピード系の伊東と浅野、テクニシャン系の久保と堂安、三好を柔軟に使い分けたい
アジアサッカー連盟から2021年3月の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選再開が正式発表され、今回が数少ないテストの場になることを考えると、やはり思い切ったトライが欲しい。そこで見ておきたいのが、右サイド・久保の”ガチ起用”だ。2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で初キャップを飾ってから9試合に出ている19歳のレフティだが、スタメンはコパ・アメリカ(ブラジル)の2試合とコートジボワール戦の計3戦のみ。前者は2シャドーの一角で、後者は左サイドだったため、代表の右サイドで久保が長時間プレーしたことは一度もないのだ。
「タケとはFC東京の時から一緒にプレーしていますけど、ホントに何でもできる選手。自由にプレーさせて、やりやすいようにサポートすることが一番いい」と、かつてタテ関係を形成した室屋成(ハノーファー)は非凡な能力を認めている。一方、同タイプのテクニシャンで元代表の清武弘嗣(C大阪)も「彼はマジでレベルが高すぎる。技術が高くて、1対1で仕掛けられて、パスも出せるし、視野も広い。スピードもある。すげえなって思いながら見ています」と感心。ポテンシャルを最大限発揮するところを見たいと誰もが願っている。
であれば、やはり本人にとってベストな役割で使うのが一番だ。「いろんなポジションができることを武器にしていきたい」と1年前に久保は話したが、バリエーションを広げるのは代表での地位を確保してからでも遅くない。自身の力を最も出しやすい右でプレーした時、彼が本来の実力を発揮できるかどうかをここで確認しておくことは、今後の日本代表にとっても大きなプラスになる。
スピード系の伊東と浅野、テクニシャン系の久保と堂安、三好を柔軟に使い分けられるようになれば、W杯予選も余裕を持って戦える。そういう理想的な体制を構築すべく、特にパナマ戦では思い切ったチャレンジを指揮官に強く進言したいものだ。
左に関しても、今回は原口への依存度が高いが、イザとなればロシア組の乾貴士(エイバル)や中島翔哉(ポルト)といった計算できる人材を呼べる。そういう意味で左は右に比べると安心感はある。こうした状況だからこそ、今回は右サイドの人材チェックを入念に行なうことが肝要だ。
「チームに貢献するための手段として結果を狙いたい」と意気込む背番号17がゴールに直結するチャンスを演出し、自ら結果を残してくれればまさに理想的。そういう成功シナリオを期待したい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)