絶好調のウニオン・ベルリン。新加入の遠藤渓太に期待されている役割とは?【現地発】

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2020年11月13日

現在のフロント3人の牙城を崩せるか

負傷で出遅れたが、チームからは確かに期待されている遠藤。(C)Getty Images

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 昨シーズンは辛抱強く戦い、勝ち点を着実に積み重ねたことで見事残留を果たすことができたが、今季のメンバー構成は昨季までのチームの特徴・クラブの美徳を残しながら、さらにクオリティの高いサッカーにチャレンジできるだけのものがある。

 特に、クルゼ加入がもたらしている効果は大きい。第5節ホッフェンハイム戦では1ゴール・2アシストでチームを勝利に導いた。ボールをもらう動きの質が本当に素晴らしく、味方がパスを出せる場所とタイミングにスッと顔を出す。

 気をつけなくてはいけないとわかっていても、守備側の選手はどこかで必ずボールの位置を確認しなければならない。だが、相手DFが視線を外したそのすきを見逃さずに動き出し、しかもゴールへの道を作り出すところでパスを受けるので相手にとっては本当に厄介。その当たりの駆け引きはまさに熟練技だ。
 監督のウルス・フィッシャーは「マックスはいい調子だね。でもまだこれが彼のベストではない。そこに向けていま取り組んでいる」とコメントし、クルゼ自身も「まだまだよくなるよ」とギアアップ宣言をしていた。

 チームが好スタートを切っているなか、遠藤は開幕前に負傷した影響もあり、ここまで4試合に出場(47分)。フィッシャー監督は5-3-2、4-4-2、3-4-3と相手に応じて様々なシステムを使い分けているが、どのシステムでも攻撃的MFの位置で起用される選手には、ダッシュでの上下動、連続した守備、ハードな競り合いが求められており、フィッシャー監督も「汚れ仕事をいとわず、泥まみれになりながらプレーするのが自分たちのサッカーだ」と明言している。

 チーム戦術を理解し、プレーの連続性が求められるため、昨年から所属するシェラルド・ベッカー、マルクス・イングバルトセン、マルクス・ビュルターが現時点では一歩リード。一方で、遠藤の能力が評価されていないわけではない。ここ数試合は地元紙による予想スタメン候補に遠藤の名前は入ってきているし、前節ビーレフェルト戦では先発起用もされた。

 ビュルター、ベッカー、イングバルトセンがフィジカル的にもメンタル的にも負荷の高いプレーを連続でチームを支えて得点源となっているが、遠藤にもまたチャンスは巡って来るだろう。焦らずにに準備を続け、ウニオンのために身体を張るプレーを体現し、遠藤らしいプレーで攻撃に変化をもたらしてほしい。
 
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
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