30台に突入すると、太腿、膝などの故障が頻発。そして19年6月、34歳で現役引退を決断したのだった。
その天与の才能を十分に開花させられなかった理由は、はっきりしている。体調管理は常に不十分で、夜遊びや不摂生が祟り最高のパフォーマンスを引き出せなかっただけではない。練習への遅刻、監督やチームメイトとの口論を繰り返して周囲の信頼を失うなど、人間性にも問題があった。
的外れなコメントの連続で解説者としても失格
引退後、すぐにスポーツTV局『FOX Sports』の解説者を務めたものの、「フラメンゴのジョルジュ・ジェズス監督(現ベンフィカ監督)は何の取り柄もない(その後19年のコパ・リベルタドーレスとブラジルリーグを制覇)」、「レアル・マドリーなんて大したことはない。ブラジルの2部でも優勝できない」といった的外れなコメントを連発。テレビ局から契約延長を見送られ、現在は無職の状態にある。
「世界最高の選手になれる逸材だと思っていたのだが……。引退後も人生は続く。幸運を祈りたい」
モウリーニョのその言葉を、C・アウベルトはどう受け止めているのだろうか。
文●沢田啓明
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年10月15日号より転載