【鳥栖】勝利を呼び込んだ、“もうひとつの”粘り強さ

カテゴリ:Jリーグ

増山直樹(サッカーダイジェスト)

2015年03月15日

我慢比べを制した“したたかな”しぶとさ。

守備だけでなく、90分間のマネジメントも“粘り強い”。キャプテンの藤田は、前線からの激しいプレスを「あえてしなかった」と語る。写真:竹藤光市

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 運動量と堅守が売りのホームチームとしてみれば、本来なら良い形でボールを奪ってからの速攻に活路を見出したかったはずだ。しかし、この日の鳥栖は、“あえて”それほど激しくプレスをかけなかった。根気強く長いボールを入れ、リスクを掛けずに相手の綻びを待ったのだ。
 
 何度もターゲットマンとして身体を投げ打ちながら、最前線で守備のスイッチ役を担った豊田は語る。
 
「ガンバさんとは何回も戦わせてもらってるんで、やり方は分かってきたかなと。行くところと行かないところを判断して、わざとパスを回させていた」
 
 遠藤保仁を中心に、相手はパスワークでも崩してくるチーム。ならば無理して安易にボールへ食らい付かず、こちらも隙を見せない。それはチーム全体の意識として共有されており、藤田直之も「もっとボランチが押し上げてFWにボールを追ってもらうこともできるけど、あえてしなかった」と同調する。
 
 特にこの日はG大阪が低い位置でパスを回し、それほど危険なエリアでの仕掛けがなかったおかげで、相手に“ボールを持たせる”時間が長くなっていた。
 
 一方で、記者から「攻撃が単調だったのでは」と質問されたG大阪の遠藤は次のように答えた。
 
「まあ、でも前半はあれでOKだったと思います。相手の怖いところはカウンターとロングボールですし、リスクを考えても問題なかった」
 
 つまりは、お互い“我慢比べ”の状態だったのだ。相手が攻めてこない分、こちらも今ひとつ決め手に欠く展開。そこでも「攻撃でも焦れずに」(池田圭)戦える姿に、鳥栖の大きな成長を見た。そして、相手を見極めつつ、後半立ち上がりの勝負どころで“一撃”を見舞う。まるで熟練の猟師のような、老獪でしぶといプランだった。
 
 少ないチャンスを決め切る抜け目のなさ、試合終了まで途切れない集中力。そして、昨季王者を相手取り、90分間を攻守で巧みにマネジメントするしたたかさ。
 
 決して派手ではないが、鳥栖の粘り強さが凝縮した会心の勝利だった。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)
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