チームが混乱しても全く変わりなく、むしろ集中力を増す本田。

背番号10としては多くの批判を浴びている本田だが、混乱のチームのなかでも平常心を維持して進化を求める姿勢をイタリア人も評価する。まともなチーム状況でプレーさせてみたいところだが。 (C) Getty Images
本田がミランで過ごしてきた15か月間のほとんどは、厳しいものだった。しかし、彼はどんな時にも動じなかった。
昨年の1月12日、本田はサッスオーロ戦でデビューしたが、その試合はマッシミリアーノ・アッレグリ監督の最後の試合でもあった。本田は新しい自分のボスと知り合う間もなかったわけだ。
その後、サブコーチだったマウロ・タソッティがコッパ・イタリアのスペツィア戦でのみ指揮を執り、その後はセードルフがベンチに座った。しかし彼もまた長続きせず、シーズンが終了とともに解任、今度はインザーギがやって来た。
もし、フィオレンティーナ戦がインザーギ監督の“終着駅”となれば、本田は1年あまりで4人の監督の下でプレーすることとなる。このことからも、彼が本当にひどい時期にミランに来てしまったことが分かる。ベルルスコーニがミランの会長に就任してからの29年の歴史のなかで、今こそが最低最悪の時期なのである。
話がそれてしまった。とにかく私が言いたいのは、本田は何が起ころうとも、常に冷静であろうとしているということだ。真のプロフェッショナルは、どんな条件にも左右されず、結果を出す人間を指す。その仕事をするために金をもらっている以上、自分のベストを尽くすべきなのだ。
本田の様子をミラネッロで見た者は全て、彼がいつもと全く変わらないと証言している。いや、それどころか、いつも以上に集中しているように見える。残念ながら、彼のような振る舞いのできる選手は、今のミランにそう多くはない。
ヴェローナ戦の前、インザーギは本田についてこう語っていた。
「この前の試合(キエーボ戦)で、私は彼を先発で使わなかった。そうしたら彼は今週、これまで以上に練習に打ち込んでいた。そして、もっと上達するにはどうしたらいいかを私に聞いてきたんだ」
本田だって、決して心身ともに楽な状態にはないだろう。アジアカップから帰ってきたからは、なかなか調子が上がらないし、同じポジションにはライバルとも言えるアレッシオ・チェルチが入ってきた。
本田がスタメンとしてプレーしたのは、今から1月前のエンポリ戦(2月15日)が最後だ。以降、インザーギ監督は他の選手を使って勝利を試みたが、そのほとんどは失敗に終わっている。
もし、この夏にミランの大改革があるとしても、本田は再出発のための不動の駒となるだろう。なぜなら本田こそ、ミラン再生にあたって唯一、そのメンタリティーを変えなくてもいい選手だからだ。ミランは、彼の周りで大きく変化することになるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
昨年の1月12日、本田はサッスオーロ戦でデビューしたが、その試合はマッシミリアーノ・アッレグリ監督の最後の試合でもあった。本田は新しい自分のボスと知り合う間もなかったわけだ。
その後、サブコーチだったマウロ・タソッティがコッパ・イタリアのスペツィア戦でのみ指揮を執り、その後はセードルフがベンチに座った。しかし彼もまた長続きせず、シーズンが終了とともに解任、今度はインザーギがやって来た。
もし、フィオレンティーナ戦がインザーギ監督の“終着駅”となれば、本田は1年あまりで4人の監督の下でプレーすることとなる。このことからも、彼が本当にひどい時期にミランに来てしまったことが分かる。ベルルスコーニがミランの会長に就任してからの29年の歴史のなかで、今こそが最低最悪の時期なのである。
話がそれてしまった。とにかく私が言いたいのは、本田は何が起ころうとも、常に冷静であろうとしているということだ。真のプロフェッショナルは、どんな条件にも左右されず、結果を出す人間を指す。その仕事をするために金をもらっている以上、自分のベストを尽くすべきなのだ。
本田の様子をミラネッロで見た者は全て、彼がいつもと全く変わらないと証言している。いや、それどころか、いつも以上に集中しているように見える。残念ながら、彼のような振る舞いのできる選手は、今のミランにそう多くはない。
ヴェローナ戦の前、インザーギは本田についてこう語っていた。
「この前の試合(キエーボ戦)で、私は彼を先発で使わなかった。そうしたら彼は今週、これまで以上に練習に打ち込んでいた。そして、もっと上達するにはどうしたらいいかを私に聞いてきたんだ」
本田だって、決して心身ともに楽な状態にはないだろう。アジアカップから帰ってきたからは、なかなか調子が上がらないし、同じポジションにはライバルとも言えるアレッシオ・チェルチが入ってきた。
本田がスタメンとしてプレーしたのは、今から1月前のエンポリ戦(2月15日)が最後だ。以降、インザーギ監督は他の選手を使って勝利を試みたが、そのほとんどは失敗に終わっている。
もし、この夏にミランの大改革があるとしても、本田は再出発のための不動の駒となるだろう。なぜなら本田こそ、ミラン再生にあたって唯一、そのメンタリティーを変えなくてもいい選手だからだ。ミランは、彼の周りで大きく変化することになるだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。