【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「トップ下での起用はもうないだろう」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年02月11日

ピルロを自由にさせるな――それが与えられた使命だった。

待望のトップ下で起用されたものの、インザーギが本田に指示したのは「ピルロ(右)のマンマーク」だった。 (C) Alberto LINGRIA

画像を見る

 初めて自分本来のポジションでプレーした結果がこんなものになるとは、本人も想像していなかったろう。
 
 本領をもっとも発揮できるポジションはトップ下――。ミランに来てから約1年の間ずっと、本田圭佑は歴代の監督にそう主張しつづけてきた。マッシミリアーノ・アッレグリ(現ユベントス監督)に対しては、あるいはそれを言う時間もなかったかもしれないが、クラレンス・セードルフ、そしてフィリッポ・インザーギには分かってもらおうと、本田は頑張ってきた。残念ながら、これまでその努力が実ることはなかったが。
 
 ミランにとって本田は、つねに“右サイドで使える選手”だった。右サイドからその強力な左足を生かせるからこそ、そしてなにより、自らに課せられた義務をきちんと果たすことができるからこそ、ピッチに入ることができたのだ。
 
 攻撃だけでなく守備にも手を貸し、サイドを激しく上下しろと言われたら、本人の好むと好まざるとにかかわらず、本田は必ずそれをやり遂げる。そうしたこともあり、ミランに来てからトップ下でプレーした機会はほとんどなかった。
 
 しかし、ユベントスとのビッグマッチ(セリエA22節)で、本田にトップ下でプレーするチャンスが巡ってきた。
 
 試合前の予想布陣は、いつもの4-3-3だった。ジェレミー・メネーズがCFに入り、両ウイングがサイドを上下に大きく動くお馴染みのシステムだ。ところが、インザーギは予想外の手を打った。4-2-3-1(あるいは4-4-1-1)を用意し、トレクァルティスタ(トップ下)に本田を置いたのである。
 
 ついに本来のポジションでプレーできることになった本田。しかし、良いニュースはそこまでだった。結果は、散々だった(1-3)。インザーギが再び本田をトレクァルティスタで使うことはないだろう。
 
 インザーギが本田をトップ下に置いたのは、ある明確な意図があってのことだった。それは、本田をユーベの司令塔アンドレア・ピルロのマーカーとして、それも1対1のマンマーカーとして使うことだった。
 
 身も蓋もない言い方をすれば、つねにピルロのそばに張り付いて、このレジスタ(司令塔)を自由にさせないことが、インザーギが本田に与えた使命だった。ピルロの動きを抑え込むか、そこまではできなくても前線へのパスを限定する――それが狙いだった。
【関連記事】
「弱者のサッカー」で王者ユベントスに対抗するも力の差を見せつけられたミラン
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「戦力補強を終えて、ますます際立つ本田の存在」
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「チェルチとの定位置争いは現時点で本田が有利」
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田はミランの最後の希望――ゆえにミラニスタは日本代表を心から応援すべきだ!!」
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田がミランにもたらした経済効果を考えよう」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ