大魚を逃したシャルケと守備面での限界を露呈した前回王者…。

右WBにバルネッタを起用したのは、点を取りに行くというディ・マッテオ監督の意思表明であり、攻撃面では奏功したものの、やはりリスキーな選択だった。 (C) Getty Images

失点について現地では酷評されているというカシージャスだが、それより多くの好セーブを見せていた。問題は簡単に決定機を与えてしまった脆弱かつ気の抜けたチームの守備全体にあった。 (C) Getty Images
負傷したシュポ=モティングに代わり、29分から急遽出場したザネは、CLデビュー戦という不安を吹き飛ばし、大器の片鱗を随所で見せつけた。マイヤー同様、2ライン間を活発に動き回り、狭いスペースでボールを受けては落ち着き払ったプレーを披露していた。
圧巻は57分で、名手カシージャスが一歩も動けない縦回転の左足シュートを叩き込んでみせた。87分にも同弾道の左足ミドルでゴールを脅かすなど、前回王者を相手に堂々たるパフォーマンスを披露。華々しいデビューを飾った。
65分にアルベロアとの1対1を制すなど、シャルケ守備陣の中で孤軍奮闘していた守護神ヴェレンロイターを含め、19歳トリオが放った輝きは申し分がなかった。
3)悔やみきれない守備の不出来
マイヤーやザネが躍動し、フンテラールが古巣相手に2ゴール(いずれも勝ち越しゴール)を叩き込むなど、攻撃陣が及第点を大きく上回るパフォーマンスを披露したぶん、シャルケDF陣の不出来は悔やんでも悔やみきれないところだろう。
とくに強度を欠いたのが右サイドだ。右ウイングバックで先発したバルネッタの守備力および周囲とのディフェンス時における連携不足は火を見るより明らかで、実際、この右サイドを崩されて2点目と3点目を奪われた。
先制点のアシストをはじめ、攻撃時にはバルネッタが良い仕事を果たしたのは事実だが、ディ・マッテオ監督がより攻守にバランスの取れた内田を先発起用していたら、あるいは回避できた失点があったかもしれない。
4)王者の前に山積する課題
昨年3月のバルセロナ戦以来となるサンチャゴ・ベルナベウでの4失点を喫したマドリーも、言うまでもなくディフェンスの安定感を欠いていた。
ロナウド、ベンゼマ、ベイルがかけるプレスは連動性に欠け、もともと攻撃的なクロースを底に据えている中盤での守備は限界を露呈。S・ラモスを怪我で欠いた最終ラインも盤石ではなく、この一戦では19本ものシュート(枠内は10本)を撃ち込まれた。
6セーブと気を吐いたカシージャスの健在こそ頼もしいが、よりタフな相手が待ち構える準々決勝以降を勝ち抜くには、ハードワークの徹底や守備組織の抜本的な改善が求められるだろう。
エースのロナウドが結果を残したほか、負傷離脱していたモドリッチが約4か月ぶりの復帰を果たすなど、マドリーにポジティブな話題がないわけではない。ただ、何度もボールロストするなど、不調を改めて印象付けたベイルを含め、連覇を狙う王者の前には看過できない課題が山積している。
文:遠藤孝輔
【写真で回想】レアル・マドリー栄光のCL史
圧巻は57分で、名手カシージャスが一歩も動けない縦回転の左足シュートを叩き込んでみせた。87分にも同弾道の左足ミドルでゴールを脅かすなど、前回王者を相手に堂々たるパフォーマンスを披露。華々しいデビューを飾った。
65分にアルベロアとの1対1を制すなど、シャルケ守備陣の中で孤軍奮闘していた守護神ヴェレンロイターを含め、19歳トリオが放った輝きは申し分がなかった。
3)悔やみきれない守備の不出来
マイヤーやザネが躍動し、フンテラールが古巣相手に2ゴール(いずれも勝ち越しゴール)を叩き込むなど、攻撃陣が及第点を大きく上回るパフォーマンスを披露したぶん、シャルケDF陣の不出来は悔やんでも悔やみきれないところだろう。
とくに強度を欠いたのが右サイドだ。右ウイングバックで先発したバルネッタの守備力および周囲とのディフェンス時における連携不足は火を見るより明らかで、実際、この右サイドを崩されて2点目と3点目を奪われた。
先制点のアシストをはじめ、攻撃時にはバルネッタが良い仕事を果たしたのは事実だが、ディ・マッテオ監督がより攻守にバランスの取れた内田を先発起用していたら、あるいは回避できた失点があったかもしれない。
4)王者の前に山積する課題
昨年3月のバルセロナ戦以来となるサンチャゴ・ベルナベウでの4失点を喫したマドリーも、言うまでもなくディフェンスの安定感を欠いていた。
ロナウド、ベンゼマ、ベイルがかけるプレスは連動性に欠け、もともと攻撃的なクロースを底に据えている中盤での守備は限界を露呈。S・ラモスを怪我で欠いた最終ラインも盤石ではなく、この一戦では19本ものシュート(枠内は10本)を撃ち込まれた。
6セーブと気を吐いたカシージャスの健在こそ頼もしいが、よりタフな相手が待ち構える準々決勝以降を勝ち抜くには、ハードワークの徹底や守備組織の抜本的な改善が求められるだろう。
エースのロナウドが結果を残したほか、負傷離脱していたモドリッチが約4か月ぶりの復帰を果たすなど、マドリーにポジティブな話題がないわけではない。ただ、何度もボールロストするなど、不調を改めて印象付けたベイルを含め、連覇を狙う王者の前には看過できない課題が山積している。
文:遠藤孝輔
【写真で回想】レアル・マドリー栄光のCL史