【CLポイント解説】実力差を見せつけたポルト圧勝の妥当 バーゼル・柿谷は見せ場なし

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年03月11日

1対1でジャカを翻弄したブライミの突破力が際立つ。

1)ポルトの一方的な勝利
 
 開始14分という早い時間帯にFKから先制ゴールを挙げて2試合合計2-1とリードしたホームのポルトが、テクニックの優位をベースに安定したポゼッションで試合をコントロール。バーゼルにまったく付け入る隙を与えず、後半に3点を加えて4-0(トータル5-1)という一方的な勝利を収めた。
 
 イタリアでは、何の波乱も見どころもないまま予定調和的に終わったゲームのことをよく「語るべきストーリーのない試合」と呼ぶのだが、この試合はまさにその典型。後半開始直後にポルトが決定的な2点目を挙げた時点で、勝負の決着は完全についたと言ってよかった。
 
2)プレスが空回りしたバーゼル
 
 序盤の試合展開には、ホームという地の利に加えて「0-0のままでもOK、1点奪えば勝ち上がりはほぼ確実」なポルト、「勝ち上がりのためにはアウェーゴールが必要だが、失点したらかなり苦しくなる」バーゼルという、両チームが置かれた心理的状況の差がはっきりと表われた。
 
 ポルトのペースに乗せられたくないバーゼルは、第1レグ同様、立ち上がりから積極的に前に出てハイプレスを敢行、相手のポゼッションを分断して攻守の切り替えの多いハイペース、ハイインテンシティの展開に持ち込もうと試みた。
 
 第1レグはポルトもそれに正面から応じて前に出たために、バーゼルの狙い通りの乱戦模様となった。しかし今回はポルトも余裕を持ってこれに対応。無理にボールを前に運ぼうとせず、ペースを落として後方でボールを回すことで相手のプレスをいなし、試合のリズムを落としつつ主導権を手元にたぐり寄せた。
 
 ハイプレスが空回りして相手のペースにはめられた時点ですでに、バーゼルの勝機はかなり狭められていたと言っていいだろう。
 
3)主役はブライミ
 
 主導権を握ったポルトは、ウイングのゴンサレスがあまり守備に戻らないバーゼルの右サイドに照準を合わせて、左から崩しにかかる。
 
 故障欠場したマルティネスの代役としてCFに入ったアブバカルが外に開いて左ウイングのブライミと絡み、そこに左SBのA・サンドロが攻め上がることで数的優位を作り出し、バーゼルの右SBジャカ、右CBシェアを困難に陥れる。
 
 この日はとりわけブライミの突破力が際立っており、1対1でジャカを翻弄して危険な場面を再三作り出すことになる。
 
 ブライミの活躍の場は左サイドにとどまらなかった。14分には、ペナルティアーク右端でテージョが倒されて得たFKを蹴り、壁を越えてゴール右隅に直接飛び込む美しいシュートでネットを揺らして貴重な先制ゴールをもたらす。
 
 この小柄なアルジェリア代表ウイングは、その後も左サイドをかき回し、次に見る決定的な2点目にも重要な貢献を果たした。マン・オブ・ザ・マッチを1人選ぶとすれば、間違いなく彼、ブライミだろう。

崩しの急先鋒となり、美しいFKで先制ゴールを奪ったこのブライミがポルト勝利の最大の立役者だ。 (C) REUTERS/AFLO

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