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【安永聡太郎】もう“和製メッシ”の域を超えている。日本代表も「久保建英+10人」でチームを作るべき

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年08月06日

メッシと比較される領域に近づきつつある

久保がメッシ(左)と比較される領域に近づいていると安永氏は見る。(C) Getty Images

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 今シーズン、久保はマジョルカで王様としてプレーできた。その経験、得た引き出しはいろいろある。その開け方、使い方を間違わなければ十分に通用するレベルにある。普通の選手はこれまで自分の武器だと思っていたモノが間合いの違うリーグ、ステージでうまく発揮できないとき、「なぜ通用しないのか?」と原因を周囲に求めてしまうことがある。けど、久保は自分の中に原因を探して解消することに集中した。

 もちろんシーズンの最初の頃は考えながらプレーしていたと思う。でも、今は間違いなく無意識にプレーしている。考えないことは判断スピードが上がるということなので、当然プレースピードも上がる。だから、相手より一歩先をいける。相手が「久保、何をするのかな?」と考えた瞬間に、彼は何も考えずに先にプレーしてしまっている状態だね。

 今シーズン、何度も見せたロングレンジのドリブルは無意識に感覚的に行なっていた。

 相手の間合いになってもクッとへその向きを変えながら自分の間合いに引き戻して優位な状況を作り出していた。無意識に体が反応している感じだった。これは訓練された「無意識」だと思う。それを正しいときに、正しいポイントで実践することができるのが久保の強み。間違いなくバルセロナで鍛えられたものだ。
 
 6月の戦術解説コラム『CL優勝を見据えるバルサが直面する「メッシ問題」。戦術をとるのか、エースをとるのか――』にも書いたけど、認知したものを無意識に判断できる選手がそろっているのがバルサで、彼もその能力を培っている。

 現在のバルサは意識してメッシを見ているから歯車がかみ合わない。でも、マジョルカは新型コロナウイルスの影響によるリーグ中断明け以降、久保の成長とチームの彼への理解が相まって歯車が噛み始めた。だから、久保は無意識状態でプレーできていた。アタッキングサードでは意識レベルのスイッチは入れているけど、「考えて、どうしよう?」というよりは意識と無意識の狭間くらいの感覚でプレーしている。

 たとえば、ゴールが見えた瞬間に、もう足が振れているとか。

「よし、打とう」と思ってから足が上がるのではなく、そう思ったときは足が上がっている。久保は今シーズンの終盤に、その領域に入っていた。スペインでは和製メッシと形容されるのではなく、“久保建英”という名前で見られるようになったし、もはやメッシと比較される領域に近づきつつある。

 来シーズンはもう一つ上のレベルで、チームの間合いを自分が掌握できるかどうかの主導権争いをしてほしいと、僕は思う。久保がどの領域の無意識を見せてくれるのか、楽しみだ!

 僕のたとえ話で申し訳ないけど、アンダー20の世界大会で自分が試合ごとにうまくなっている感覚を得たことがあった。現役時代にそういう感覚を得たのは唯一その大会だけ。ミスした後、「あー、このシーンはこれで失敗したから次はこうしよう。こう運び出したら相手をはがせるな」と瞬間的に思うと、ゲーム中にそれができてしまうことがいろいろあった。

 ボールを奪われた後は、ちょっとの間、そのプレーのことを意識して振り返るもの。その大会中は試合中に似たシチュエーションに出くわすと、練習もしていないのに無意識にそれができてしまっていた。

「オレ、うまくなってる」

 サッカー人生の中で、たった一瞬でうまくなっていると実感することができた時間だった。身体は疲れているんだけど、頭の中は整理できている。きっと久保も今シーズンは似た感覚を持っていただろうし、彼はもっと高い次元でそれを感じていただろうからもっと試合をしたいだろうし、早く来シーズンが来てほしいと思っているはず。

 移籍先にレアル・ソシエダという名前も挙がっていたけど、どうだろう? たぶん今の状態なら適応度が早いだろうけど、あそこは右のワイドでボールに触らずガマンの時間が多いから「マドリーに戻ることを前提に考えると、果たしてプラスになるのかどうか?」疑問に感じる。

 久保の成長を第一に考えると、ソシエダへの移籍はクエスチョンが付く。

 セビージャは、ちょっと早い気もするけど、あのチームは右SBにヘスス・ナバスがいるから久保とのコンビはおもしろいよね。1対1を推奨しているチームだから見てみたい気はするね。

 次のステージに行ったとき、彼個人がどんな化学反応をするのか、期待しかない。これだけワクワクする選手がでてきたことがすごいよね。
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