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かつて見下していた「欧州第2のカップ戦」に浮上のきっかけを求めるイタリア勢――ヨーロッパリーグ

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年02月22日

華やかなCLの影でひっそりと進むカルチョ復興を懸けた戦い。

カルチョ凋落のシンボルとも言えるミラノ勢。インテルはこの先、欧州の舞台で希望を見出す戦いができるか。そして、ミランの欧州カップ戦復帰はいつのことになるやら……。 (C) Getty Images

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 そして、もうひとつの原因。それはイタリアの上位クラブにとって、そもそもUEFAカップのプライオリティが非常に低かったことだ。歪んだエリート意識というべきだろうか、彼らはセリエAとチャンピオンズ・リーグにしか興味がなかったのである。
 
 かつて、あるビッグクラブの首脳陣のひとりは、コッパ・イタリアを「貧乏クラブのスクデット」と呼んだが、多くのクラブはUEFAカップにも名誉を見出すことができなかった。97-98シーズン、セリエAでユベントスのマッチレースに敗れたインテルは、後にUEFAカップを獲得するも、このシーズンを失望に彩られたものとして記憶している。
 
 もっとも、下に記した通り、UEFAカップでのイタリア勢の沈黙が始まった後も、CLではまだイタリア勢は力を保ち続けていた。ベスト4以上に入った回数では、イングランド、ドイツ勢にも劣っていない(スペイン勢には大きく引き離されたが)。
 
◎CLでベスト4入りしたイタリア勢
(1999-2000シーズン~)
2002-03 ミラン(優勝)、ユベントス(準優勝)、インテル
2004-05 ミラン(準優勝)
2005-06 ミラン
2006-07 ミラン(優勝)
2009-10 インテル(優勝)
 
 しかし、2000年代に入ってからは、数々の外的要因(不景気、エンロンショック、八百長事件、ファイナンシャルフェアプレー等)がビッグクラブをも痛めつけ、さらにクラブ自体が無計画な投資など拙い経営を行なったことで、間もなくしてセリエA自体が地盤沈下を起こすこととなった。
 
 惨敗した66年ワールドカップ、八百長の闇がカルチョを覆った70年代後半から80年代初頭、2000年に入ってからのCLにおける早期敗退、そして2006年のカルチョポリ……、いずれの時もイタリア・サッカーは存亡の危機に陥りながら、そこから一気に這い上がって頂点に昇り詰めたが、今回突入したトンネルはこれまでで一番長く、抜け出せるのかどうかも分からない。
 
 さて欧州カップ戦に話を戻すと、いまイタリア勢がCLで優勝を果たすと考えるのは現実的でない。今シーズンはユベントスが生き残っているものの、セリエAでは抜群の強さを誇る彼らも、レアル・マドリー、バルセロナ、バイエルン、チェルシー、パリ・サンジェルマン……いずれに対しても見劣りする感は否めない。
 
 そんななか、ELこそがイタリア勢の最後の頼みの綱となる。欧州での地位(UEFAランキングも含め)をこれ以上下げないためにも、そして浮上のきっかけをつかむためにも、かつて見下していた「欧州第2のカップ戦」に全力を注ぎ続ける必要がある。
 
 ここ数シーズンでようやくイタリアの各クラブもその意識を持つようになってきたようだが、昨シーズンはユベントスが全力をもってしても、準決勝で力尽きてしまった。決勝では本拠地で戦えるという最大のアドバンテージがあったにもかかわらず、である。これがイタリアクラブの現在の力ということかもしれない。
 
 ELでは創設以来、スペイン勢が5シーズンで3度優勝と強さを見せている。今シーズンは3チームがエントリーしているが(イングランド勢も同数)、最多の5チームを擁するイタリア勢がこれらを抑えてELの歴史を変えることができるか。華やかなCLの影で、カルチョの復興を懸けた戦いがひっそりと展開されている。
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