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東南アジア各国が目標とする2026年W杯出場。ノウハウを提供するJリーグの狙いとは?【アジア戦略のいま #2】

カテゴリ:Jリーグ

長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年07月07日

チャナティップ札幌加入の舞台裏に現地視察ツアーも

Jリーグ関係者も視察した2016年9月のロシアW杯アジア最終予選のタイ戦。チャナティップ(18番)は翌年、札幌に加入した。(C) Getty Images

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 ASEAN諸国サッカー界との関係を構築するうえでキーマンとなるのが、同諸国のサッカー協会やリーグの会長などを務める人物たち。多くの場合、幹部職は財閥オーナーや政治家、王族といった有力者が務めるが、「彼らは常々Jリーグから学びたいと言ってくれていますし、こうした方々と直接つながっているのは大きい」と、協業を進めていくうえでの大きな原動力として期待されている。

 こうしてJリーグとASEAN諸国のリーグ間では、リーグの運営やマーケティング、選手育成などのノウハウの共有が定期的に行なわれるようになっている。とはいえ、双方向でさらなるリーグの活性化につなげるには、JリーグにおけるASEAN諸国プレーヤーの活躍が不可欠だろう。

 ただし、Jリーグではブラジルをはじめとした南米の選手や、同じアジアでも適応力の高い韓国人選手へのプライオリティが高い。外国籍選手枠のなかでASEANの選手たちがプレーするのは難しいのが現状だ。そうした中で、Jリーグが2016年に創設したのが提携国選手枠という制度。これはJリーグがパートナーシップを締結し、交流を図る各国サッカー協会・リーグのうち、ASEANの7か国(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、シンガポール、マレーシア)の選手が日本人選手と同じ扱いとされ、公式戦に起用できるというものだ。これによって、各クラブが東南アジア選手の獲得、起用に踏み切りやすくなったのは事実だろう。

 アジア戦略がスタートした当初から今日までに、ASEAN諸国の選手をJリーグでプレーさせるまでの道のりは決して簡単ではなかった。小山氏が述懐する。
「なんとかASEANの選手にプレーしてもらいたいと思って、クラブや日本のエージェントにも働きかけたのですが、当初は戦力にならないと思われていた。ブラジル人や韓国人選手が多いなかで、3+1の外国籍枠でタイ人やベトナム人を獲るのは、なかなかハードルが高いんですよね。そういう経験を重ねながら、提携国枠という制度が設計されたり、環境が少しずつ変わってきました」

 2012年以降、ASEAN諸国からベトナム人やタイ人、インドネシア人の選手がJリーグ入りした例はあったものの、長期的なスパンでの成功事例はなかなか生まれなかった。潮目が変わったのは2017年に札幌に加入したチャナティップの活躍からだ。1年目からレギュラーの座を奪うと、翌2018年にはJリーグベストイレブンを受賞した。

 チャナティップ札幌加入の舞台裏を小山氏が明かす。
「2016年のタイ代表と日本代表のワールドカップ予選の試合をバンコクで開催されたのですが、その時に視察ツアーを組んで、Jリーグの5クラブほどの強化責任者と一緒に現地視察に訪れたんです。その時に札幌の三上(大勝)GMにも来ていただいて。元々獲得候補には挙がっていたのですが、改めて代表戦をしっかり現地視察されて獲得に繋がったので、こうした機会を創出する意義を実感しましたね」
 
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