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「あれで僕は本当にメディアが嫌になった」新ジダンと呼ばれた男の苦悩と挫折のストーリー【消えた逸材】

カテゴリ:ワールド

結城麻里

2020年07月06日

「『元・新ジダン』なんて書かれることもあってね。腹が立つよ」

11-12シーズン、カタールのアル・コール時代。17年まで現役を続けたメグニは、33歳でプロキャリアに終止符を打った。 (C)REUTERS/AFLO

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 00年夏に入団したボローニャではトップチームに早々と定着。04-05シーズンのセリエA4節、ホームでのローマ戦では2得点を挙げる活躍も披露した。

 だが、そこから停滞期に突入する。ボローニャのセリエB降格にともないレンタルで渡ったソショーでは怪我に泣き、07年夏には名門ラツィオへの移籍が実現したものの、ここでも才能を開花できなかった。

 A代表は09年にアルジェリアを選択した。10年ワールドカップの本大会出場に小さくない貢献を果たしながら、しかし、本大会前に大怪我を負って欠場を余儀なくされる。以降は怪我の連続で、ラツィオ退団後に渡ったカタールのクラブでも故障に見舞われ、ピッチにすらほとんど立てなかった。

 フランスに戻って両膝を手術したものの思うように回復せず、葛藤の末、29歳のときにアメリカに渡って専門医の診察を受ける。だが、診断結果は不明瞭なものだった。
 未来への不安ばかりが募るなか、15年1月、気分転換もかねて兄が主宰するフットサルチームに加入した。だが、やはりフットボールが恋しくなり、同年7月、31歳でアルジェリアのコンスタンティーヌと契約をかわす。

「子供も成長してきたし、引退する前に僕のプレー姿を見せたかったんだ」

 17年までこのクラブでプレーを続け、プロキャリアに終止符を打った。33歳だった。

 現在のメグニは、8部リーグに相当するパリ郊外のアマチュアクラブ「ヴァル・ド・フランス」に所属。エレガントなテクニックを披露し、周囲の人々を魅了している。なぜこのクラブに所属しているのか。それは息子がU-11チームでプレーしているからだ。

「いまだにメディアで『元・新ジダン』なんて書かれることもあってね。腹が立つよ。そんな比較は一度も望んだことがないのに」

 5年前にそう語っていたメグニは、いずれ古い絆創膏のように貼りついたそのレッテルを剥ぎ取り、育成の分野で何かを成し遂げているかもしれない。

「ヴァル・ド・フランス」でメグニはいま、アシスタントの一人として少年育成(6~13歳のカテゴリー)にも関わり始めているのだ。

文●結城麻里

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年6月18日号より転載
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