【U-22日本代表】コンセプトの浸透は指揮官の思い描くレベルに

カテゴリ:日本代表

飯尾篤史

2015年02月16日

「もっとゴールへの意識を高めないといけない」(大島)

この日、キャプテンマークを巻いたボランチの遠藤は「イメージの共有は上手くいったと思います」と手応えを口にする

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 その最たる例が昨年9月に韓国で開催されたアジア大会、準々決勝の韓国戦だ。完全アウェーということで慎重にゲームに入ったが、後半になって相手の勢いが落ちたにもかかわらず、それに付き合ってしまって反撃できず、終了間際のPKによる失点で敗れている。
 
 そこでシンガポール戦を確認の場と捉え、手倉森監督は相手の情報を与えなかったばかりか、「あえて指示せず、メンバー、システムをぽんと与えて」、選手たちをピッチに送り出したのだ。その結果として8-1で完勝したことに、指揮官は喜びを隠さなかった。
 
「トレーニングでやってきたこと、チームコンセプトとこれまでの課題だった柔軟性や割り切りの部分が身に付いたサッカーを見せてくれた。システムが変わっても、メンバーが変わっても、みんなが同じ絵を描いて仕掛けられるようになってきたなと。間で、下で剥がしていこうという練習をしている割には、今日はやけに裏に蹴っているなって感じたけれど、それで1点取ったのは、彼らにコントロール力、柔軟性が付いてきた証だと思う」
 
 この時期にシンガポール遠征が組まれたのは、3月27日からマレーシアで開幕するオリンピックのアジア1次予選を睨み、諸熱対策と東南アジア対策をするためだった。
 
 しかし、キックオフの18時には25度前後にまで下がり、強風の影響もあって想定していたほど暑くなかった。1か月近くにわたる合宿で強化を図ったというU-23シンガポール代表も、日本のゴールラッシュに集中力を切らせ、実力差はさらに開いた。
 
 対策の成果は得られず、図らずもワンサイドゲームになってしまったが、期せずしてチームコンセプトの浸透を試すには、ちょうど良い相手、格好のゲームになった。
 
 もちろん、1次予選はまだしも、1年後のアジア最終予選は、シンガポールとは比べものにならないレベルのチームがライバルになる。大島が気を引き締める。
 
「攻撃のスイッチの部分が合わなかった場面もあったし、いつ奪いに行くかのタイミングもまだまだかなと。もっとレベルの高い相手と戦う時にも、今日と同じようにというか、もっとゴールへの意識を高めないといけないなとも思います」
 
 だが、チームの立ち上げから1年、コンセプトの浸透は、指揮官の思い描くレベルに達してきたと言えるだろう。3月11日にフクダ電子アリーナで行なわれるミャンマーとの親善試合と予選前の合宿で、課題として残る攻守におけるセットプレーを入念に詰め、万全の準備で1次予選に臨みたい。
 
取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)
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