【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「トップ下での起用はもうないだろう」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年02月11日

全力は尽くしたが、どっちつかずとなり…。

ピルロをケアしながらでは、攻撃で決定的な仕事はできず……。トップ下の本田は、結果的に中途半端に終わってしまった。 (C) Alberto LINGRIA

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 だが、次の3つの理由で、インザーギの目論みは絵に描いた餅に終わってしまった。
 
 まず、ピルロがマンマークで抑えられる相手ではないということ。ユーベと対戦するチームの監督はほとんどの場合、ピルロを檻の中に閉じ込めようとマンマークを付ける。しかしピルロは、どうしたらその檻から抜け出せるか熟知しているのだ。
 
 次に、そもそも本田はマンマークに長けた選手ではない。監督の指示を忠実に守る本田には、多少の無理は聞かせられる。しかし、それにも限度というものがある。90分間敵を封じ込めるマンマークは、さすがに本田には荷が重かった。
 
 そして、本田を背後からフォローすべきサリー・ムンタリとマイケル・エッシェンが、その意図をまるで理解していなかった。MFの連係がなければ、本田の献身も水泡に帰すだけだ。
 
 いずれにしても、本田は全力を尽くした。本来のポジションでプレーするせっかくのチャンスを得たのだ。ピルロのマークに奔走しながら、自分を表現しようとした。ただ残念ながら、そのためにどっちつかずとなり、どちらも上手くいかなかったのである。
 
 同じような戦術の変更を、インザーギはクリスマス前のローマ戦(セリエA16節/0-0)でも施している。初めて4-3-2-1を使い、トップ下に並べた本田とジャコモ・ボナベントゥーラに相手の攻撃の起点を潰すように指示したのだ。
 
 その時は首尾よくいったが、ユーベはローマとはレベルが違った。いまのユーベは、どこにも弱点がないように作られたチームだ(少なくともイタリアでは。ヨーロッパにおいてはその限りではない)。彼らはたんまりとカネをかけ、きちんとしたプロジェクトに沿って強化を進めている。
 
 翻って、ミランのスカッドリストにはレンタルや“賞味期限切れ”の選手が並ぶ。もはやオーナーのシルビオ・ベルルスコーニには、チーム強化のためにカネに糸目をつけなかったかつての財力はないのである。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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