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「別のやり方があった」宮本恒靖が負った深い傷…ドイツ惨敗の代償【日本代表キャプテンの系譜】

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年05月26日

公開練習、環境への適応不足…チームが抱えていた様々な問題点

クロアチア戦はスコアレスドローで終えた日本。ブラジルとの最終戦にグループリーグ突破を懸けて戦うことになったが……。写真:サッカーダイジェスト

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 そのボンでも連日、公開練習が続き、ジーコはメンバーを固定したまま調整を続けた。5月30日のドイツ戦(レバークーゼン)を2-2で善戦したことでチームには「イケる」という前向きな感触が生まれたが、6月4日のマルタ戦(デュッセルドルフ)で精彩を欠いたあたりから再び不穏な空気が漂い始める。その実情を報道陣やサポーターが目の当たりにするようになり、控え選手からも「雰囲気があまりよくない」「主力組がずっと同じでメンタル的に難しい」といった発言が飛び出し始めた。

 ひとつになり切れないチームにキャプテンは頭を悩ませたが、気分転換を図ろうにも、ホテルも練習環境も長期間一緒の共同生活。数多くの日本人が行き交うボンの街中には自由に外出できない。選手たちはストレスを抱えたまま、集中して本大会に挑めなかったのは、紛れもない事実だろう。

 加えて言うと、同年のドイツは6月初旬まで異常な低温が続き、そこから気温が急上昇。猛暑の中、14日の初戦・オーストラリア戦(ガイザースラウテルン)を迎えることになり、日本の選手たちは終盤になって足が止まり、気候適応の失敗を露呈する形になった。ご存じの通り、結果は1-3の惨敗。中村俊輔のラッキーゴールでリードしたにもかかわらず、ラスト6分間で3失点を食らうという最悪の負け方だった。

 このショックはあまりにも大きく、日本は18日の第2戦・クロアチア戦(ニュルンベルク)で勝点1を取るのが精一杯。22日の最終戦・ブラジル戦(ドルトムント)は1-4と完膚なきまでに叩きのめされ、玉田圭司(長崎)の先制点も空砲に終わった。

 こうした苦い経験を踏まえ、2010年南アフリカ大会以降は試合会場の環境や気象条件を考えながら、事前合宿地とベースキャンプ地を明確に分け、非公開練習も要所で取り入れられるようになったが、それはドイツでの反省を踏まえたものだ。宮本キャプテンの意見が少しでも反映されていたら、最強軍団はもっといい状態でドイツ・ワールドカップを戦えていたのではないだろうか。そう考えると、14年が経過した今でも残念と言うしかない。
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