会見では感極まり質疑応答を拒否…一体なぜ?

98年トルシエジャパンのエジプト戦フォーメーション。フランスW杯組のほか、奥、望月らが名を連ねた。(C)SOCCER DIGEST

PKで新体制初ゴールを挙げた中山。これが決勝点となった。写真:サッカーダイジェスト
トピックは、ピッチの中だけではなく、試合後にもあった。
会見場に姿を現わした指揮官は一方的に話したあと、質疑応答を拒否してロッカールームに引き上げてしまうのだ。
「人間の生死というものは、フットボールの本質を越えたものだ」
伊東の母親の急死についてコメントするうちに、感極まってしまったということだった。選手の肉親の不幸に、他人事ではいられないという指揮官の態度は、信頼に足る人物だという印象を濃くした。もっとも、その後は奇行が目立つようにもなるのだが……。
会見場に姿を現わした指揮官は一方的に話したあと、質疑応答を拒否してロッカールームに引き上げてしまうのだ。
「人間の生死というものは、フットボールの本質を越えたものだ」
伊東の母親の急死についてコメントするうちに、感極まってしまったということだった。選手の肉親の不幸に、他人事ではいられないという指揮官の態度は、信頼に足る人物だという印象を濃くした。もっとも、その後は奇行が目立つようにもなるのだが……。
試合は呂比須ワグナーの獲得したPKを中山雅史が決めて、1-0でアフリカチャンピオンを撃破した。試合展開が白熱したわけではなかったが、フラット3の披露、アウトサイドの人選、会見での振る舞いなど、トルシエらしさが全開で、新生日本代表の可能性が浮かび上がるゲームになった。
もっとも、翌日にはそうしたポジティブなムードをかき消すニュースが飛び込んでくる。横浜マリノスと横浜フリューゲルスの合併が発表されたのだった。
文●飯尾篤史(スポーツライター)