【日本代表 隠れ名勝負】フラット3の初披露…だけではなかったトルシエジャパンの初陣。指揮官らしさがいきなり全開!

カテゴリ:連載・コラム

飯尾篤史

2020年05月23日

短期集中連載『日本代表隠れ名勝負』vol.4 98年トルシエジャパンのエジプト戦|新監督のエッセンスが詰め込まれた初陣

98年トルシエジャパンの初陣となったキリンチャレンジカップのエジプト戦。中田英がドリブルで持ち上がる。写真:サッカーダイジェスト

画像を見る

 ワールドカップやアジア最終予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップといったメジャーな大会ではなく、マイナーな大会や親善試合においても日本代表の名勝負は存在する。ともすれば歴史に埋もれかねない“隠れ名勝負”を取り上げる短期集中連載。第4回は98年、トルシエジャパン時代のエジプト戦を振り返る。(文●飯尾篤史/スポーツライター)

――◆――◆――

 指導キャリアの大半を過ごしたアフリカで付けられたニックネームは、白い呪術師――。

 謎のベールに包まれたフィリップ・トルシエを新指揮官に迎えた初陣が1998年10月28日のエジプト戦だった。

 セリエAのデビュー戦でユベントス相手に2ゴールを叩き込んだ中田英寿の凱旋ゲームでもあったこの試合は、新監督を知るうえで示唆に富んだゲームだった。

 22人中17人がフランス・ワールドカップのメンバーで、フォーメーションも同じ3-4-1-2だったが、長居スタジアムのピッチで躍動したのは、ワールドカップの時とはまるで異なるチームだったのだ。

 最終ラインに目を向ければ、キャプテンの井原正巳を中心にした3バックが果敢にラインを押し上げようとしている。この時点ではまだ「フラット3」というネーミングは公になっていない。だが、後方にひとり余らない井原のポジショニングは、まぎれもなくフラット3特有のもの。

 中盤にも新監督のエッセンスがまぶされていた。

 加茂ジャパン、岡田ジャパンではウイングバックにサイドバックの選手を起用するのが定石だったが、この日右ウイングバックを務めたのは、中盤中央を本職とするプレーメーカーの望月重良だったのだ。

 実は、練習では伊東輝悦がこのポジションで試されていた。試合前日に母親が亡くなったためにチームを離れたが、伊東にしても本来は中盤中央の選手。望月や伊東はその後も右のアウトサイドで起用され、他にもボランチの明神智和が右ウイングバックに入ることがあった。

 一方、左ウイングバックには、中村俊輔や小野伸二が起用されることになる。つまり、アウトサイドに求める最大の資質は、上下動ではないわけだ。プレーメーカーやバランサーをウイングバックに起用し、ゲーム構成力や連動性を高めていく――トルシエ戦術の肝はすでに初陣で仕込まれていた。
【関連記事】
【日本代表 隠れ名勝負】“ゾーンプレス”がハマった加茂ジャパンの歴史的快勝劇!欧州勢を相手に躍動したのは…
【日本代表 隠れ名勝負】世界を相手に指揮官も驚愕!絶頂の加茂ジャパンが披露した戦後最大の逆転劇!
【W杯アジア予選を突破した日】南ア行き決定の試合後、本田圭佑は言った「持ってるよな、あいつ」
「サッカーが嫌いに…」「物凄く辛かった」7か月で終焉したファルカンJAPANの真相【名勝負の後日談】
【名勝負の後日談】「ジーコの技は誰にも止められない」82W杯、ブラジル最高傑作のチームはなぜ敗れたのか?<後編>

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • ワールドサッカーダイジェスト WSD責任編集
    9月10日発売
    欧州サッカークラブ
    選手名鑑の決定版!
    2021-22 EUROPE SOCCER
    TODAY 開幕号
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト 12月9日号
    11月25日発売
    先取り移籍マーケット
    J1全20クラブの
    去就予測&注目候補10選
    磐田ダイジェストも!
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ワールドサッカーダイジェスト
    11月4日発売
    ハーランド世代!!
    躍動する「2000年代生まれ」の
    若手逸材を完全網羅した
    「ヤングタレント大百科」
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVol.33
    7月28日発売
    2年ぶりの本大会開催!
    インターハイ選手名鑑
    出場全52校・1040選手を網羅
    データ満載の決定版
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ