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僕らの現実。ドラッグや酒に走り、そして死に至る宿命――【元アルゼンチン代表DFの手記/第1章】

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年05月24日

“真のクラック”だったボギーとウィチ

アルヘンティノスのカテゴリア77の面々を抑えた貴重な一枚。後列の右から4人目がプラセンテだ。 (C) Gentileza/AJ

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 ボギーとウィチはチームの真のクラック(名手)で、彼らが住んでいた団地のことも鮮明に覚えている。場所はイシドロ・カサノバ市、アルミランテ・ブラウンのカンチャの裏で、国道3号線とレオン・ガージョ通りの角だ。

 当時の団地にはインターフォンなんてなかったから、サッカーをするために友達を呼びたければ窓の下に立って口笛を吹かないといけなかった。彼が上から頷きながら顔を出したら、もうシャツを着てゲームを始める準備ができているという意味だった。

 団地の敷地にあったセメントのカンチャで、賞金をかけて行なわれた即席のトーナメントは、僕がそれまでに見てきたものの何よりも刺激的だった。

 ボギーとウィチは、ほんのたまに、自分たちの棟(ホーム)なのに、アウェーとしてプレーしていた。あの頃、セメントのカンチャで試合をする時は、いつだってホームのメンバーの方が多かったからね。そんな環境で、あえてアウェーの選手としてプレーするなんて、ちょっとカッコいいだろう。わかるかい?

 僕はいつも見学していたんだけど、ある日、自分にも出番が回ってきた。絶対に忘れられない午後のことだ。
 

 まず、参加費を援助してくれる人を探さないといけなかった。賞金がかかっていたから、トーナメントを始める前に参加費を払わなければならないのに、僕らの場合は全員で金を出しても2人分にも至らなかった。そこで大人の友達が“スポンサー”になって、お金を貸してくれて、僕らが勝った場合は賞金を山分けすることになった。交渉成立だ。

 スタートから好調だった。そして、最初の3試合に勝って進出した準決勝で、地元の僕らよりもホームの利を得たチームと対戦することになった。同じ20号棟の奴らだ。奴らの応援には大勢が詰めかけて、カンチャはものすごい盛り上がり様だった。

 ピッチ沿いに相手のサポーターがぴったりとくっついて、ライン際からプレッシャーをかけてくる。もちろん、僕らはいいプレーをしたよ。ポトレーロ(草サッカー)には慣れていて接触プレーもドリブルもお手の物だったし、なんといってもボギーとウィチがいたからね。

 でも奴らはずっと年上で、何がなんでも僕らをやっつける気でいたんだ。
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