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アジアカップ2015

【日本代表コラム】全世代がアジア8強敗退、18歳以降で広がる世界との差 抜本的改革が急務だ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年01月27日

武藤が同年代をごぼう抜きした事実をどう捉えるか。

年代別代表歴がなく、実質プロ1年目の武藤が同年代のトップクラスに躍り出た。日本サッカーの18歳以降の強化方法には欠陥があると言える。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 例えば、今回アジアカップに招集された日本代表メンバーの中で、22歳以下の若い選手を送り出しているのは、鹿島(柴崎岳、昌子源、植田直通)とFC東京(武藤嘉紀)だけだ。武藤は実質プロ1年目の大学生だったわけだから、こうして見れば育成に関しては鹿島の一人勝ちである。
 
 一方で武藤は年代別代表歴がないので、単純に大学で3年間を過ごした選手が、直接プロに進んだ同年代をまとめて抜き去ったという見方もできる。これでは18歳以降で、世界に一気に水を開けられるのも無理はない。
 
 5年前のU-17ワールドカップでブラジルと対戦した日本代表選手たちは、必ずしもネイマールを別次元だとは感じていない。ところがその後は、一気に雲の上の存在になってしまった。
 
 結局鹿島を除くJクラブが18歳以降の選手を育てる最適のノウハウや仕組みを確立できていない。これは当然日本協会も頭を痛める難題で、日本サッカーの強化を考えれば致命的な欠陥とも言える。この年代に真剣勝負の場を与え成長を促すのは、協会とJクラブが協力して取り組むべき差し迫ったテーマだ。
 
 しかし実は日本には、それ以上に重要な課題がある。せっかくサッカーを選択してくれた子どもたちが、一律健やかに成長できる仕組みの構築だ。これはサッカーに止まらず、日本全体のスポーツ観に関わるので一朝一夕では解決できない。
 
 一応サッカー界は、指導者ライセンス制度を整えたという点で、他競技よりは先進的なのかもしれない。だがオランダ、ドイツ、スペインなどの育成先進国と比べれば、指導者の資質や意識が揃っていない。指導者養成講座は受けても、実際現場に立つと自身の成功体験に偏っていく指導者が途切れない。
 
 暴力暴言を駆使し理不尽と長時間トレーニングが精神力を鍛えると頑なな指導者は論外だが、さらに故障を予防できる効率的なトレーニングの知識が不十分で、育成段階に応じて徐々にモチベーションを高めていく方法が突き詰められていない指導者までを資質に欠けると捉えれば、今の日本で小中高と進む間に適切な指導環境が続くのは奇跡に近い。
 
 また学校やクラブが変わる度に方向性も一変してしまうケースが多く、さらに最低でも3年間は同じチームでの活動を強いられることになるから、一度適わない指導者に当たると、そこで才能は損なわれてしまう。
 
 欧州から遠く離れ、言語も異なる日本は、すでに多くのハンデを抱えているのだ。タレントを伸ばす指導者と壊す指導者が混在する環境を劇的に変える大胆な対策を打ち出さない限り、ここから世界との差を縮めていくのは難しいと思う。
 
文:加部 究
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