【番記者コラム】岩政大樹が岡山に“本気の熱さ”をもたらした2年間

カテゴリ:Jリーグ

寺田弘幸

2020年05月02日

岩政の本気は岡山サポーターをも変えていった

10年間在籍した鹿島ではリーグ290試合に出場し、国内のすべてのタイトルを獲得。サポーターに愛され、惜しまれながら退団した。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 その岩政の本気が、覚悟が、岡山を変えていった。

 もちろん選手として勝点の獲得に貢献する能力を有していて、チームをまとめる類稀なリーダーシップも持ち合わせていた。ピッチ内外で存在感は絶大だったが、勝点の獲得やリーダーシップの面で岩政以上に多くのことをもたらせる選手は他にもいるだろう。ただ、チームメイトを本気にさせ、ファン、サポーターも巻き込み、みんなの目の色を変えて大きなうねりを起こしていくほどのパーソナリティを持つ選手は他にいないだろう。

 しかし、あと一歩のところまで迫りながら、岡山を次のステージに導くことはできなかった。

 16年12月4日。J1昇格プレーオフ決勝。冷たい雨の降るキンチョウスタジアムで岡山はC大阪に0-1で敗れてJ1昇格を逃した。この結果を岩政は潔く受け止め、多くの人々に囲まれたミックスゾーンで自身の力不足を口にしている。

「最後の試合で隙ばかりを与え続けてしまった。それが自分のやってきた結果で、2年間にやってきたことの力不足を表わしている。みんなに言い続けることができなかった、徹底させることができなかった、日常を変えることができなかった、そういうことだろうと思う」
 

 岩政の力だけでは、2年間では、変わらなかった。

 それが結果だったが、16年シーズンが岡山に関わるすべての人々の心に刻まれていることは間違いない。岩政はいつも堂々と、本気で目標に向かっていく姿を見せてくれた。チームメイトも、ファン、サポーターも、その姿に感化されて本気でJ1を目指したからこそ、あの時の悔しさが今も忘れられないでいる。

 プレーオフ決勝の翌日。岩政は2年間の歩みを少しだけ冷静になって振り返ってくれた。

「これまでも、これからも、毎年クラブは目標を掲げると思うけど、それを100パーセント達成できるわけじゃないからスポーツというのは難しくて、だから感動もできる。いつかは達成する年がくるだろうけど、できる年とできない年があって、そのどちらの経験もしなければできた年も輝かないからね。ただ、まず第一歩として熱くなる雰囲気まで持っていかなければいけなかった。強くなっていくクラブにはそれが大前提にあるものだから。そういう面で、今年は本気度とか覚悟を一段階くらいは上げることができたのかなと思うね」

 本気で挑戦することの大事さ。岩政がそれは身をもって教えてくれた2年間は、岡山に関わるすべての人々が岩政に本気にさせられた熱い2年間だった。

取材・文●寺田弘幸(フリーライター)

【Happy Birthday】5月生まれのJリーガー&海外日本人PHOTO!

【PHOTO】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集!

【関連記事】
中村憲剛が選ぶJ歴代ベスト11「恩人のジュニーニョはやっぱり外せない!」「中盤のポイントは…」
大久保嘉人が選ぶJ歴代ベスト11「憲剛さんは“別格”。ヒデさんは強烈だった」
仲川輝人が選ぶJ歴代ベスト11「イニエスタ選手は想像以上で、もはや異次元」
ぺこぱのシュウペイが選ぶJ歴代ベスト11「悠、宏介、裕介さんとはかつてチームが一緒で…」
【スタグル探訪記】岡山編|Jトップクラスのグルメスタジアム「ファジフーズ」が凄い!!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ