【番記者コラム】岩政大樹が岡山に“本気の熱さ”をもたらした2年間

カテゴリ:Jリーグ

寺田弘幸

2020年05月02日

「日本のトップクラブとなる力になりたい」

岡山が最も「J1」に近づいた昇格プレーオフ決勝は、冷たい雨の降る16年12月4日に行なわれた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「ファジアーノ岡山が、日本のトップクラブとなる力になりたいと思っています。まずはその第一歩として、新しいチームメイト、そしてサポーターの皆さんとJ2優勝を目指します」

 インパクトのあるコメントを発表して岩政大樹が岡山へ入団したのは2015年シーズンだった。それから2年間、クラブに関わるすべての人々を巻き込みながら、本気で目標に向かっていく岩政の歩みを追い掛ける日々は楽しくて仕方なかった。

『サッカーダイジェスト』の依頼を受け、15年のプレシーズンにさっそく岩政のインタビューをさせてもらった。そのときの衝撃は今でも忘れられない。鹿島で、獲得できる国内タイトルのすべてをその手に掴み取ったDFは、新たな経験を求めて岡山で挑戦することを選んでいた。
 
「鹿島で10年間やってきて、このまま同じ経験をして引退するのはつまらないと思ったし、引退後に残るものが少ないとも思ったんですよ」

 そして岩政はこう続けた。

「でも、新しいことをするのは面倒くさいじゃないですか。自分も嫌だったんですけど、これから他のチームでどれだけ失敗しても、僕のサッカー人生はもうそんなに悪いもんじゃない。そう考えた時に、だったら自分が一番面倒くさいこと、これまでとはぜんぜん違うこと、それを思い切ってやろうと思ったんです。そういうことを経験していくことによって、必ず新しいものが見えてくるし、必ず新しい自分にも出会える」

 14年には海外挑戦を選択。タイの首都バンコクに拠点を構えるBECテロ・サーサナFCでプレーし、タイでもタイトルを獲得した岩政は岡山へやってきた。それもひとりの選手としてプレーするために契約を交わしたわけではなく、クラブを新たなステージへと導くため、一選手の枠組みを遥かに超えたミッションに挑戦するため、岡山へやってきた。

「鹿島は僕が入団する以前から一番タイトルを獲っていたし、僕が入ってからもタイトルを獲って、おそらくこれからもタイトルを獲っていくでしょう。そういうクラブの中で、時が経てば僕なんかはすごく小さな歴史の一部になっている。ただ、岡山は違う。このクラブにも下のカテゴリーから上がってきた歴史があるけど、これからまた違う歴史を作っていく時期に来ている」

「僕は将来、このクラブが日本のトップのクラブになるための手助けをしてほしいと言われて来ているし、このクラブが去年までと今年からは違うものを描いていかないといけない状況にあることが、僕の新しい経験になるんです」

 岩政は自分で「岩政大樹」というプロサッカー選手のキャリアをデザインし、プロとしてプレーすることを辞めた後のビジョンも描きながら、そのキャリアの最後になるであろう“本気の挑戦”を岡山でスタートした。
 
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