ポイントは前線の選手による相手DFラインの“ピン留め”
ソシエダのサッカーを分析するにあたり、大局的な観点では大きく2つの見方をすることができます。一つは「サリーダ・デ・バロン」によって相手陣内にどう侵入するか。もう一つは、相手陣内でどうペナルティーエリアへと前進するか。この2つです。
今回のコラムでは、「相手陣内にどう侵入するか」にポイントを絞って説明していきます。
その前に、ソシエダの戦い方について少し解説しておきます。彼らは、基本的にボールを丁寧につなぎながら、ゲームを組み立てていきます。それはボールポゼッションが目的ではなく、相手陣地に入るため、ゴールに向かうためという狙いがあった上でのボール保持です。
その目的がより明確だからこそ戦術的に整理されていたのだと、私は読み取っています。「相手陣内にどう侵入するか」という段階で彼らが見せる「サリーダ・デ・バロン」の再現性の高さには、2つのポイントがあると考えています。
1、前線の選手による相手DFラインのピン留め
2、GK+2CBと両SB+中盤3枚の戦術的なボール運び
まず「1」について説明します。そもそも守備は「チーム全体で密集してボールを奪い、そこから一気に攻撃を仕掛る」というのが一般的なセオリーです。ソシエダは、その相手の守備に対して、アルグアシル監督が意図的に密集状態を作らせないような仕掛け、つまり「ラインの分散」を行なっている。それが「前線の選手によるDFラインのピン留め」です。
サリーダ・デ・バロンをする際、「1トップ+1枚もしくは2枚の前線」はなるべく後方に下りてきません。それは自分たちが後方に立ち位置を取ると、結果的に守備側が密集状態を作りやすくなり、逆に相手のディフェンスの狙いにハマってしまうからです。
ここには「相手守備を分散させる」という明確な意図があります。
今回のコラムでは、「相手陣内にどう侵入するか」にポイントを絞って説明していきます。
その前に、ソシエダの戦い方について少し解説しておきます。彼らは、基本的にボールを丁寧につなぎながら、ゲームを組み立てていきます。それはボールポゼッションが目的ではなく、相手陣地に入るため、ゴールに向かうためという狙いがあった上でのボール保持です。
その目的がより明確だからこそ戦術的に整理されていたのだと、私は読み取っています。「相手陣内にどう侵入するか」という段階で彼らが見せる「サリーダ・デ・バロン」の再現性の高さには、2つのポイントがあると考えています。
1、前線の選手による相手DFラインのピン留め
2、GK+2CBと両SB+中盤3枚の戦術的なボール運び
まず「1」について説明します。そもそも守備は「チーム全体で密集してボールを奪い、そこから一気に攻撃を仕掛る」というのが一般的なセオリーです。ソシエダは、その相手の守備に対して、アルグアシル監督が意図的に密集状態を作らせないような仕掛け、つまり「ラインの分散」を行なっている。それが「前線の選手によるDFラインのピン留め」です。
サリーダ・デ・バロンをする際、「1トップ+1枚もしくは2枚の前線」はなるべく後方に下りてきません。それは自分たちが後方に立ち位置を取ると、結果的に守備側が密集状態を作りやすくなり、逆に相手のディフェンスの狙いにハマってしまうからです。
ここには「相手守備を分散させる」という明確な意図があります。
今シーズンの序盤、アルグアシル監督は1トップのウィリアン・ジョゼやアレクサンダー・イサク、ウイングのオジャルサバルらには「下がるな。前にいろ」という指示を送り続けていました。シーズンが進むに連れ、私はここにさらなる意図があったことに気づきました。
彼らは180センチを超える身長と当たり負けしないフィジカルの強さを持っているのですが、アルグアシル監督はその特徴を加味し、後方からの「サリーダ・デ・バロン」がうまくいかなかったときの選択肢として、前線を使った攻撃の組み立てをチームに取り入れました。
あくまで傾向の話ですが、サイドバック(以下SB)は身長がそれほど高い選手がいません。そこで、ソシエダは後方からゲームの組み立てがうまくいかない場合には、相手のSBを狙って空中戦を仕掛けます。当然、前線でピン留めしている選手たちには身長がありますから簡単に負けることはありません。全員が足下のスキルも備えていて、戦える選手たちです。
しかし、この場合、前線の選手たちの対応だけではこの攻撃を成り立たせるには不十分です。ソシエダがすごいのは、この空中戦への仕掛けに必ずセカンドボールを狙って中盤の3枚がフォローに回る状態を作り出しています。メリーノ、スベルディア、ウーデゴーはセカンドボールの回収できる活動量を持っていて、データ上では前半だけで平均6~6.5キロを走っています。
もちろん、センターバック(以下CB)やSBの選手たちが的確に空中戦を作るようなボールを放り込む技術を持っていなければいけませんが、ソシエダはチーム全体が相手陣内に侵入するための手段として、この選択肢を戦術的に共有しています。
実は、この選択肢=プレス回避の方法があるから「2」の「GK+2CBと両SB+中盤3枚の戦術的なボール運び」が安定して行えることにつながっているのです。
彼らは180センチを超える身長と当たり負けしないフィジカルの強さを持っているのですが、アルグアシル監督はその特徴を加味し、後方からの「サリーダ・デ・バロン」がうまくいかなかったときの選択肢として、前線を使った攻撃の組み立てをチームに取り入れました。
あくまで傾向の話ですが、サイドバック(以下SB)は身長がそれほど高い選手がいません。そこで、ソシエダは後方からゲームの組み立てがうまくいかない場合には、相手のSBを狙って空中戦を仕掛けます。当然、前線でピン留めしている選手たちには身長がありますから簡単に負けることはありません。全員が足下のスキルも備えていて、戦える選手たちです。
しかし、この場合、前線の選手たちの対応だけではこの攻撃を成り立たせるには不十分です。ソシエダがすごいのは、この空中戦への仕掛けに必ずセカンドボールを狙って中盤の3枚がフォローに回る状態を作り出しています。メリーノ、スベルディア、ウーデゴーはセカンドボールの回収できる活動量を持っていて、データ上では前半だけで平均6~6.5キロを走っています。
もちろん、センターバック(以下CB)やSBの選手たちが的確に空中戦を作るようなボールを放り込む技術を持っていなければいけませんが、ソシエダはチーム全体が相手陣内に侵入するための手段として、この選択肢を戦術的に共有しています。
実は、この選択肢=プレス回避の方法があるから「2」の「GK+2CBと両SB+中盤3枚の戦術的なボール運び」が安定して行えることにつながっているのです。