耳をつんざくようなブーイングがスタジアムに鳴り響き――。
開始3分にバルサは幸先良くルイス・スアレスが先制点を決め、約9万9000人で埋め尽くされたホームスタジアムが盛り上がる。ただ、あと3点。時間とともに試合は落ち着き、40分の追加点でバルサは勢いを取り戻すも、すぐさまハーフタイムに入った。
落ち着きのないハーフタイムはあっという間に過ぎ去り、50分にバルサはリオネル・メッシがPKを決める。場内には「いけるぞ!」という雰囲気が漂うも、62分にエディンソン・カバーニにアウェーゴールを許してしまう。これでバルサが勝ち抜けるにはあと3点が必要となり、ゲームは「終わった」と思ったし、スタンドの一角のパリ・サポーターが騒いでいるだけで、カンプ・ノウはまるでお通夜のような雰囲気だった。
印象的だったのは、88分にバルサのネイマールがFKを決めた後のプレーだ。84分に途中出場したアンドレ・ゴメスが中盤に降りてGKへ安パイなバックパスをすると、耳をつんざくようなブーイングがスタジアムに鳴り響いた。視界に入る目の前のサポーターのほとんどが腕をフルスイングしてパリSGのゴールを指す。たしかに、「時間がないし、後ろを向いている場合じゃないだろ!」と思った。
そこからバルサのベクトルは一直線にパリSGゴールへ向かった。後半アディショナルタイム1分、メッシが中盤に降りてボールを受けてゴール前へ長い浮き球のスルーパスを送り、反応したスアレスが相手DFと交錯してPKを獲得。これをネイマールが決めると会場のボルテージは上がり、それはアディショナルタイム5分に最高潮に達した。ネイマールのアシストでセルジ・ロベルトが逆転弾を奪ったのだ。
アグリゲートスコア「6-5」。普段は控えめなほうだが、この時ばかりは気づいたら隣の知らない中年男性と抱き合っていた。荷物を置いた自分の席からもそこそこ離れている。
落ち着きのないハーフタイムはあっという間に過ぎ去り、50分にバルサはリオネル・メッシがPKを決める。場内には「いけるぞ!」という雰囲気が漂うも、62分にエディンソン・カバーニにアウェーゴールを許してしまう。これでバルサが勝ち抜けるにはあと3点が必要となり、ゲームは「終わった」と思ったし、スタンドの一角のパリ・サポーターが騒いでいるだけで、カンプ・ノウはまるでお通夜のような雰囲気だった。
印象的だったのは、88分にバルサのネイマールがFKを決めた後のプレーだ。84分に途中出場したアンドレ・ゴメスが中盤に降りてGKへ安パイなバックパスをすると、耳をつんざくようなブーイングがスタジアムに鳴り響いた。視界に入る目の前のサポーターのほとんどが腕をフルスイングしてパリSGのゴールを指す。たしかに、「時間がないし、後ろを向いている場合じゃないだろ!」と思った。
そこからバルサのベクトルは一直線にパリSGゴールへ向かった。後半アディショナルタイム1分、メッシが中盤に降りてボールを受けてゴール前へ長い浮き球のスルーパスを送り、反応したスアレスが相手DFと交錯してPKを獲得。これをネイマールが決めると会場のボルテージは上がり、それはアディショナルタイム5分に最高潮に達した。ネイマールのアシストでセルジ・ロベルトが逆転弾を奪ったのだ。
アグリゲートスコア「6-5」。普段は控えめなほうだが、この時ばかりは気づいたら隣の知らない中年男性と抱き合っていた。荷物を置いた自分の席からもそこそこ離れている。
劇的弾の直後に終了のホイッスル。身体は震え、鳥肌が立ってしばらく収まらない。ホテルまでの道中も勝利に酔いしれてどんちゃん騒ぎのバルサ・サポーターがたくさんいたのに対し、レストランで見かけたパリSGファンの男性は、目の前に食事があるのにテーブルに突っ伏してしばらく立ち上がれないでいた。
サッカーファンの心に響き、後世に語り継がれる伝説の逆転劇。様々なメディアがその要因を分析した。評論は千差万別あっていいと思うから、そのすべてを尊重する。そのうえで、”観客”として個人的な意見を挙げるなら、ポイントとなったのは”雰囲気”だ。
特に象徴的だった88分からの8分間、バルサをパリSGゴールへのベクトルを強くさせたサポーターの声援は、大きな勝因になったと思う。残念ながらまだ学生で取材をしたわけではないから、裏を取れていないものの、おそらくバルサの選手のプレーに影響したのではないだろうか。奇跡か、必然か、と聞かれれば、歴史的な大逆転劇なのでさすがに前者だろう。ただ、その奇跡を起こすための後押しを、バルサのサポーターは十分にしていたのだ。
文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
サッカーファンの心に響き、後世に語り継がれる伝説の逆転劇。様々なメディアがその要因を分析した。評論は千差万別あっていいと思うから、そのすべてを尊重する。そのうえで、”観客”として個人的な意見を挙げるなら、ポイントとなったのは”雰囲気”だ。
特に象徴的だった88分からの8分間、バルサをパリSGゴールへのベクトルを強くさせたサポーターの声援は、大きな勝因になったと思う。残念ながらまだ学生で取材をしたわけではないから、裏を取れていないものの、おそらくバルサの選手のプレーに影響したのではないだろうか。奇跡か、必然か、と聞かれれば、歴史的な大逆転劇なのでさすがに前者だろう。ただ、その奇跡を起こすための後押しを、バルサのサポーターは十分にしていたのだ。
文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)