「“有毒な”人間はいらない」バルサ復帰を目論むシャビが発した言葉の真意【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2020年04月23日

「一心同体で働く環境があればそれでいい」

バルサ復帰を公言しているシャビ。だが1月のオファーは固辞した。(C)Getty Images

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 いつの時代もバルセロナの監督がもっとも腐心するのがロッカールーム周辺のマネジメントである。彼らが最優先課題に掲げるのが、このクラブ特有のメディアの圧力とフロントの介入から選手たちを遠ざけて、プレーコンセプトを基にチームの力を引き出し一つにまとめることだ。

 したがってOB選手が、監督として復帰、あるいは下部のカテゴリーのチームから内部昇格する際に、チームへの“装甲”の強化に注力するのも自然の成り行きだった。組閣を進める際にも入念に人選を行い、指導者やスタッフとしての力量に加え、忠誠心も重視する。バルサの監督を務めるうえで、クラブの事情を熟知したOBのほうがメリットが大きいのは間違いないだろう。

 ジョゼップ・グアルディオラ、ティト・ビラノバ、ルイス・エンリケ、エルネスト・バルベルデといった近年の歴代監督も、そうしたOB監督の強みを活かしてチームを成功に導いてきた。そう考えると、「バルサに戻るのが夢だ」と公言するシャビが、今年1月にカタールにエリック・アビダルSDとオスカル・グラウCEOを迎えた際に、監督就任の打診を固辞した理由も自ずと見えてくる。

「ロッカールームの近くにトクシコ(スペイン語で有毒という意味)な人間はいらない」シャビは一般紙「ラ・バングアルディア」のインタビューの中でこう述べ、一緒に働きたいパートナーとしてカルレス・プジョールやジョルディ・クライフなどの名前を挙げた。

 シャビはさらに現在のバルサがチームの土台がすでに固まっていることを認め、ネイマールの復帰も歓迎している。しかし問題は、やはりチームを取り巻くバックアップ体制の整備にあると主張する。「会長が誰であるかは関係ない。一心同体で働く環境があればそれでいいんだ」
 
 バルサ特有のこの外部のノイズの大きさを「エントルノ」(スペイン語で周囲、環境という意味)と称したのはかのヨハン・クライフだ。シャビのトクシコという言葉も、意味合いは同じである。ルイス・ファン・ハールがある記者に向かって「君は悪者だ。いつもネガティブだ」と投げかけた有名なセリフも、ジョゼップ・グアルディオラが「これ以上監督を続けても、お互いを傷つけ合うだけだ」と意味深なコメントを残して去ったことも根っこの部分で変わりはない。

 バルサには常に一線級のタレントが集結している。しかしそこに選手たちの取り組む姿勢と周囲のサポートがなければ、チームは勝つことができない。そのためには現場とフロントが一致団結して、対立や確執、記者へのリークといった外部のノイズをシャットアウトしなければならない。

 そのフロントにも一流のスタッフが揃っている。しかしひとたび利害関係が発生すると、共生は困難になり、ロッカールーム、フィットネスルーム、メディカルルーム、プレスルームなどクラブのそこら中に異様な空気が漂い始める。

 バルサは窓を全開して空気を入れ替える必要がある。シャビの言葉は、いまバルサがどうして難局に直面しているかを明確に示している。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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