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逆転劇はなぜ起きた?小学生年代日本一、バディーSCが見せたタフな戦いぶり【全日本U-12決勝レポート】

カテゴリ:高校・ユース・その他

木之下潤

2020年01月02日

全員が連なるように主体的なアクションを起こしたバディーSC。

9年ぶり2度目の優勝を飾ったバディーSC。見事な逆転劇で小学生年代日本一に輝いた。写真:佐藤博之

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 試合を決めたポイントは、「どれだけ主体的にアクションを起こせる選手がいたか」だった。

 バディーは序盤こそ柏に対してリアクションでプレーしていたが、失点以降は個々の選手が自らアクションを起こしていた。それは攻撃だけでなく、守備にも言えた。通常、守備は相手のパスに応じて各選手がポジションを移動し、チーム全体で組織を整えながらボールを奪おうとする。

 しかし、バディーの選手はボールの出所に対して積極的にプレスをかけた。ただ、それだけではない。それを確認した味方が次の受け手になりそうな選手を徹底的に潰しにかかった。つまり、主体的なアクションを、全員が連なるように起こすことで「自分たちが絶対に勝つんだ」という意志を、柏の選手全員にぶつけて精神的に追い詰めていった。

 日頃からJアカデミーをはじめ、地域の多様なチームと対戦している街クラブらしい戦い方だった。

 一方、他のJにも当てはまることだが、恵まれた環境で練習し、比較的整ったピッチで試合をしている柏は、普段から自分たちがゲームをコントロールする立場にいるほうが多い。

 もう少し具体的に掘り下げると、攻撃や守備の“切り替えにおいて混沌とした状況”を経験することが少ない。例えば、ボールを奪ったら人数に関係なくボールホルダーが無鉄砲に行けるところまで前進してくるとか…。柏の選手は攻撃や守備がある程度セットされた状況では力を発揮していたが、切り替え時の短い時間に相手が積極的なアクションを起こすと的確な判断を下せないことが目に付いた。

 その点、バディーの選手は切り替え時の次への反応スピードが早かった。

 そこはハーフタイムに南雲伸幸監督が修正したことでもあった。「ファーストアプローチをしっかりして、そこの観察さえしておけば、長いボールなのか、ショートパスなのかはわかるはずだから」と指示を送ったという。監督がやるべきことを簡潔に伝えたことで、選手はさらに「何をやるべきか」のイメージを明確にした。
    
 それがバディーの選手の主体的なアクションにつながっている。

 現代サッカーでは、様々な意味での“スピード”が結果を左右する。アクションでプレーするか、リアクションでプレーするかは時間的、精神的な点で相手との優位性に差が出る。例えると、ボクシングのボディブローのように時間が経つほど心身の疲労度を大きくなる。

 柏にとっては普段からそういう試合を戦えていたか。そこにも敗れた原因があったように思う。今大会のバディーが第2代表として出場権を勝ち取ったことを考えると、神奈川では日頃から厳しい試合が行われているのだろう。そういう中で春から紆余曲折を経て優勝にまで導いた南雲監督の手腕と指導力は、Jアカデミーのコーチも学ぶべきことがあるのではないか。

 ジュニア世代でさまざまな試合を経験し、多様なプレーを身につけて積極的なアクションを起こせるのは大切なこと。それが精神的なタフさにもつながっていく。今大会のバディーSCは、そのタフさを持ち合わせていた。今大会を経験した選手たちが次のステップでどんな成長をするのか楽しみだ。

取材・文●木之下潤(フリーライター)
 
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