四中工伝統の17番を背負う男。一時はサッカーを辞めることも考えたエースはいかにして復活を遂げたのか?

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2020年01月01日

初戦・日大明誠戦で鮮やかなループショットで先制点

初戦で貴重な先制点を挙げた四日市中央工の田口。チームのエースナンバー17番を背負う。写真:徳原隆元

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[高校選手権1回戦]四日市中央工3-1日大明誠/12月31日(火)/フクアリ

 6年ぶりとなる選手権の勝利。伝統校に歓喜の瞬間を届けたのは、頼れるエースストライカーだった。


 12月31日、四日市中央工はフクダ電子アリーナで日大明誠と対戦。序盤からラッシュを掛け、前半13分までに2得点を奪う最高のスタートを切った。その後もボールを支配し、35分に1点を返されたものの、後半早々の7分に森夢真(3年)がダメ押し弾。3−1で逃げ切り、2回戦へと駒を進めた。

 この試合で最も輝いたのは2得点を奪った森だろう。だが、試合の趨勢を決めたという意味では、田口裕也(3年)の先制点が大きかった。

 伊室陽介監督も「彼が決めたから、勝ち切れたと思います」と認めた一撃は、初陣特有の緊張感に包まれたキックオフ直後の前半5分に生まれる。CB青木晴暉(2年)が敵陣でクリアボールを頭で跳ね返すと、田口が相手DFの背後を突いて左サイドを抜け出す。

「ボールが抜けて自分のところに転がり、ファーストタッチで良いところに置けた。そのタイミングでGKが間合いを詰めて来たけど、しっかり見てループシュートで決められたので良かったです」

 この試合最初の決定機にも動じず、鮮やかな一撃でネットを揺らした。

 この1点で波に乗ったチームは13分に森が加点。一気に試合の流れを手繰り寄せ、以降の展開を楽にした。田口の一撃がなければ、勝負の行方はまるで分からなかったはずだ。

 振り返れば、田口にとってこの1年は苦難の連続だった。

 昨年の選手権も出場していた男は、1年前のこの日も同じフクアリのピッチに立っていた。だが、チームは秋田商に0−2で敗戦。自身も全く仕事をさせてもらえず、大会を去った。その直後の1月に再スタートを切ったが、ここでまさかの出来事が起こる。新チームでエースと目されていた男は、いきなりBチーム行きを命じられてしまうのだ。理由はメンタル面の弱さだった。

「自分が選手権で負けてから変わり切れなかった。伊室さんにそれではダメだと言われて…」

 周りが新たな目標に向かって走り出すなか、自身は選手権での敗北を引きずり、怠惰なプレーを頻発。その振る舞いを指揮官も看過出来ず、メンバーから外された。この状況を受け入れられず、ここから2週間ほど練習を欠席。一時はサッカーを辞めることを考えるほど、気持ちが沈んだ。だが、その時に多くの人に言葉を掛けられたという。

「サッカーを辞めるか辞めないかを考えた時に、親や友達に相談しました。小学校時代にお世話になった大山田SSSの監督とも何回かご飯に行って、『お前には力があるんやから頑張れ』と説得してもらったんです。その中で自分でももう1回頑張ろうと思ったので、そこから本気でプロを目指そうと思いました」

 ここから再び目標に向かって走り出した田口。伊室監督から変化を認められ、3月には再びAチームに戻った。そして、小倉隆史氏らが背負ったチームのエースナンバーである17番を託されたのだ。
 

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